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<< 学会誌へ戻る 【緒言】中腎性腺癌（Mesonephric adenocarcinoma）は稀な腫瘍で，中腎管遺残や過形成と関連し，頸部側壁に好発する．多彩な組織像を呈し，子宮頸部粘液性腺癌や類内膜腺癌との鑑別が重要である．今回我々は，中腎性腺癌と診断された2症例を経験したので報告する．【症例1】70歳，4経妊1経産．不正出血を主訴に前医受診し，頸部腺癌または中腎性腺癌が疑われ当院紹介となった．子宮頸部に4cmの腫瘤を触知し，左子宮傍結合織への浸潤も認め，子宮頸癌2B期の診断にて広汎子宮全摘術・両側付属器切除術を施行した．病理組織では，好酸性の細胞質を持つ類円形の異型細胞が乳頭状，索状に増殖し，Vimentin陽性，Calretinin陰性であった．術後病理診断はmesonephric adenocarcinoma，pT1b1N0M0であった．術後補助化学療法施行し，約2年間無再発生存中である．【症例2】54歳，4経妊2経産．茶褐色帯下を主訴に前医受診し，頸部腺癌の診断にて当院紹介となった．頸部・体部双方に腺癌を検出し，MRIにて体下部から頸部にかけ4×3cmの腫瘤を認めた為，子宮体癌2期相当の診断にて準広汎子宮全摘術・両側付属器切除術・リンパ節郭清施行した．N/C比の高い高円柱状の異型細胞が乳頭状構造，充実胞巣などの形態を呈している事，3時から9時の峡部筋層に病変の主体がある事，中腎管過形成様の像が認められる事，Vimentin陽性，Calretinin陰性である事からmesonephric adenocarcinoma，pT1b2N0M0と診断した．現在術後補助化学療法施行中である．【結語】1症例は術前に中腎性腺癌を疑うことができたが，一方は術前に子宮体癌と診断しており，術前診断は困難と考える．診断には，多彩な組織像に加え，頸部における病変部位，免疫組織化学所見から総合的な判断が必要である． 関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 411-411, 2014 |
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