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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション8】
骨盤内手術後に大腿神経麻痺を来した2症例
山本 さやか, 西澤 千津恵, 飯高 雅夫, 森 篤
長野市民病院婦人科
【緒言】広汎子宮全摘術及び卵巣癌根治手術において2例の術後大腿神経麻痺を経験したので,発生機序及び予防について文献的考察加えて報告する.【症例1】54歳,子宮頸癌1B1期の診断で広汎子宮全摘術を施行した.手術時間5時間53分.手術直後より左大腿部の知覚鈍麻を自覚していた.術後2日目より歩行を開始したが,左下肢の脱力感を認め歩行不能であった.硬膜外麻酔の影響と考え経過観察した.術後11日目に硬膜外カテーテルを抜去したが,感覚障害,運動麻痺を認めた.MRIでは硬膜外血腫は否定的で,左大腿神経単麻痺と診断された.リハビリを開始し,術後3ヶ月でほぼ通常と変わらない状態まで回復した.【症例2】64歳,卵巣癌2C期の診断で後腹膜リンパ節郭清を含む卵巣癌根治術を施行した.手術時間6時間24分.術後3日目左下腿の運動麻痺を認めた.硬膜外カテーテルより注入を中止しても症状が改善しないため,MRIを撮影したが,硬膜外血腫は否定的であった.左大腿神経単麻痺と診断された.リハビリを開始し,2週間で杖歩行,4週間で通常通りの歩行が可能となった.【考察】大腿神経は腰椎から出て大腰筋,腸腰筋の間を通り鼠径靱帯の直下を走行し大腿四頭筋などを支配している.大腿神経麻痺の原因として神経の過進展や圧迫を引き起こす体位や,開創拘による圧迫などの手術手技によるものが考えられる.開脚位は下肢が外転,外旋しやすく大腿神経障害の原因になりやすいと考えられた.悪性腫瘍は長時間手術になるため,体位や下肢への圧迫について十分注意を払う必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
413-413, 2014
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