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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【若手ポスターセッション8】
神経症状を契機に診断された臨床的絨毛癌の一例
鈴木 義也1, 碓井 宏和2, 藤田 久子2, 林 伸彦1, 中村 名律子1, 長澤 亜希子1, 海野 洋一1, 藤村 尚代1, 生水 真紀夫2
国保松戸市立病院産婦人科1, 千葉大学産婦人科2
【緒言】絨毛癌は発生頻度が低く,先行妊娠から時間が経過していることも多いため診断に思い至らない場合がある.先行妊娠から2年半を経て神経症状を契機に診断された臨床的絨毛癌の一例を報告する.【症例】33歳と35歳に自然分娩.39歳に胞状奇胎が疑われたが自然娩出した(前医で病理提出,hCG 60,270mIU/ml).2日後に当院で子宮内容除去術を施行し水腫様流産の診断となった.術後hCGの経過観察を行ったが,6週後13mIU/ml,13週後hCGβ 0.8 ng/mlを最後にfollow offとなった.その後月経は30〜40日周期であった.42歳時に最終月経から7週6日で妊娠反応陽性となり当科を受診した.子宮内に胎嚢を認めず同日から月経様出血を認めた(hCG 6,900mIU/ml).9週5日の時点で胎嚢確認できず進行流産の診断で経過観察となった.その3週間後(12週5日)嘔吐・眩暈から左小脳梗塞の診断で当院神経内科に入院しエダラボン投与が開始された.全身CTで左肺に2cm大の腫瘤を認め,性器出血が持続するため13週4日時点で当科に紹介された.子宮内膜組織診では内膜脱落膜化を認めた(hCG 22,000mIU/ml).嘔吐・眩暈は改善したため14週0日に退院した.エリキュース(Xa阻害剤)内服開始後14週6日に右上肢の痺れ・脱力感が出現,左頭頂葉脳出血の診断となり当院脳外科に再入院した.hCG高値かつ肺・脳病変の存在から絨毛癌診断スコア17点,臨床的絨毛癌と診断した.翌日他院婦人科に転院,多剤併用化学療法(MEA)を開始した.その後hCGは下降し神経症状は改善傾向にある.【結語】hCG高値が診断の鍵となった.本例では2週間の経過で神経症状が急速に進行した.絨毛癌では迅速な対応が必要なことを再認識した.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
414-414, 2014
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