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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【優秀演題賞候補】
当院における超緊急帝王切開症例に対する診療科を越えた取り組み
今西 博治, 五十嵐 豪, 山下 有美, 秦 ひろか, 鈴木 季美枝, 名古 崇史, 新橋 成直子, 水主川 純, 中村 真, 鈴木 直
聖マリアンナ医科大学産婦人科
緒言:超緊急帝王切開を施行するにあたり,当院では定期的に全関連部署合同の協議を行い,児娩出までの時間を短縮するためのマニュアルの作成,システムの導入を行ってきた.これまでの成果について検討した.方法:2011年1月から2014年6月までに発生した母体搬送及び自院発生の超緊急帝王切開症例,31例について検討した.検定にはt検定を用いた.結果:超緊急帝王切開の適応は常位胎盤早期剥離が18例,胎児機能不全が12例,臍帯脱出が1例であった.平均年齢は32.6±5.6歳,分娩週数の中央値は34週(22〜41),麻酔方法は29例が全身麻酔,2例が脊椎麻酔,新生児死亡症例は5例.手術決定から児娩出までの平均時間は20.9±7.5分.母体搬送症例は自院発生症例と比較して有意に手術決定から入室までの時間と,手術決定から児娩出までの時間は短かった.考察:当院では超緊急帝王切開症例に対応するための新たな病院内のシステムとして,産科,新生児科,麻酔科にそれぞれ緊急対応PHSを導入した.緊急時の麻酔科への連絡事項は名前,最終飲食,既往歴のみである.また,産科緊急専用手術室が設けられ,予定手術の多い日勤帯でも短時間で入室可能であった.病院全体の手術数増加に伴い今後は分娩室での帝王切開施行に向けてシミュレーションを行う.母体搬送症例が自院発生症例よりも短時間で手術室に入室可能であったが,構築された院内システム連携により各科で来院前に手術の準備が出来上がっていたと考えられる.結論:超緊急帝王切開による児娩出までの時間短縮には,関連部門との継続した連携,問題提起,解決とともに病院全体でのシステム構築が不可欠である.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
417-417, 2014
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