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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【優秀演題賞候補】
当科における腸管子宮内膜症82例の後方視的検討


高村 将司, 平田 哲也, 川田 淑子, 田邉 良介, 泉 玄太郎, 齊藤 亜子, 原田 美由紀, 廣田 泰, 甲賀 かをり, 平池 修, 大須賀 穣, 藤井 知行
東京大学産科婦人科学教室


目的:腸管子宮内膜症は,排便痛,下血,狭窄による排便困難などをきたし,手術療法では腸管切除のリスクを伴う.一方,腸管内膜症に対する薬物療法に関する報告は少ない.当科における腸管子宮内膜症症例の薬物療法を中心とした管理,治療成績につき検討したので報告する.方法:1999年〜2013年に当院子宮内膜症外来を受診し腸管子宮内膜症と診断された患者82例を,倫理委員会承認のもと後方視的に検討した(追跡期間中央値56か月).成績:平均年齢は37.8歳で,症状として排便痛67.1%,血便62.2%,下痢35.4%,排便障害29.3%が認められ,消化器症状を呈した割合は95.1%(78/82)であった.病変部位は直腸51例(62.2.%),S状結腸22例(26.8%)であった.腸管内膜症を疑わせる所見は,下部消化管内視鏡で87.8%,直腸診で63.9%,MRIで66.1%,腟超音波で74.4%にみられたが,内視鏡で所見を有する場合でも,生検による検出率は28.2%(13/46)にとどまった.手術療法施行例は6例(7.3%)で,55例で薬物療法(67.1%)が選択された.内訳は低用量EP配合剤25例,dienogest 11例,GnRH agonist 18例,danazol 1例であった.副作用による薬剤変更が9例(16.3%)みられたが,臨床所見改善例は43例(78%)を占めた.特にdienogestについては,8例中8例で病変の縮小を認めた.症状の改善効果は82%に認め他の薬剤より高い傾向を示した.結論:腸管子宮内膜症の診断において臨床症状は重要であり,検査を組み合わせることで高率に検出することができた.生検で確定診断に至らない例は少なくないが,薬物療法を始めることで高率に症状は改善し,長期間,有効かつ安全に使用できていると考えられた.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 419-419, 2014


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