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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【優秀演題賞候補】
子宮頸部細胞診所見と腟内Lactobacillusとの関連
安立 匡志1, 東堂 祐介1, 仲谷 傅生1, 柴田 俊章1, 田村 直顕1, 村上 浩雄1, 宮部 勇樹1, 内田 季之1, 伊東 宏晃1, 杉原 一廣1, 金山 尚裕1, 原田 英一2
浜松医科大学産婦人科1, 浜松医科大学病理2
【目的】ヒトパピローマウイルス(HPV)による持続感染がどのような機序で成立するかについては不明な点が多い.腟内環境の維持にLactobacillusが重要な働きをしていることはよく知られた事実である.LactobacillusがHPV感染及びその持続感染状態に関与することが考えられるが,それに関する報告は非常に少ない.我々は子宮頸部細胞診のプレパラートにLactobacillusが子宮頸部細胞を溶解している像が観察されることに着目した.そこで子宮頸部細胞診のプレパラートの背景に観察されるLactobacillusに着目し,子宮頸部細胞診の関係について検討した.
【方法】2013年1月から2013年12月までの50歳未満の女性を対象に子宮頸部細胞診でNILMと診断された149例,ASC-US/ASC-H/LSILと診断された49例,HSILと診断された50例,子宮頚癌と診断された13例の4群に別けて子宮頸部細胞診プレパラート中のLactobacillusの有無を調査した.また雑菌と思われる一般細菌(Bacteria)の有無についても検討した.
【成績】子宮頸部細胞診プレパラート中にLactobacillusが検出されたのはNILM群で36.9%であり,ASC-US/ASC-H/LSIL群で18.3%,HSIL群では4.0%,子宮頸癌においては0例であった.一方Bacteriaが検出されたのはNILM群で70%であり,ASC-US/ASC-H/LSIL群で88%,HSIL群では100%,子宮頸癌では100%であった.
【結論】細胞診所見が悪化進行するほどLactobacillus検出率は減少し,雑菌と思われるBacteriaの検出率が増加していることが明らかになった.Lactobacillusの減少,Bacteriaの増加という腟内清浄度の悪化がHPVの持続感染あるいは子宮頸部異形細胞発生に関与していること示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
419-419, 2014
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