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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【優秀演題賞候補】
初回治療として放射線単独療法を選択した子宮体癌症例の治療成績について
矢野 友梨, 黒崎 亮, 市川 大介, 新谷 大輔, 佐藤 翔, 宮坂 亞希, 藪野 彰, 今井 雄一, 西川 忠曉, 吉田 裕之, 長谷川 幸清, 藤原 恵一
埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科
【緒言】子宮体癌は原則的に手術療法が第一選択であるが,高齢や合併症などの問題から初回治療として放射線療法を選択せざるを得ない場合もある.NCCNガイドラインver.1.2014では子宮限局例のうち,手術不能な症例について腫瘍を標的とした放射線治療は骨盤内制御率と長期の無増悪生存率を改善する手段となり得ると評価されている.今回,我々は当院で初回治療として放射線単独療法を選択した子宮体癌症例10例について,その患者背景や治療成績に関する検討を行ったため報告する.【方法】当院で2007年4月から2013年3月の間に初回治療として放射線治療を選択した子宮体癌10症例について検討を行った.【結果】対象10症例の治療開始時の年齢中央値は79歳(分布66-93歳)であり,臨床進行期(日産婦2011)I期8例,III期2例,治療開始時のPSは0から1が6例,2が3例,3が1例であった.放射線治療による重篤な合併症の出現は現時点で観察されていない.10症例中2例は初回治療完遂後未受診のため予後不明であるが,残り8例のうち2例で再発を認めた.2014年5月時点でのPFSは6-81ヶ月であり,死亡が確認されている症例は未だ認めていない.【考察】当院で初回治療に放射線単独療法を選択した10例は高齢であり,多くの症例で生命予後を左右する合併症を認めた.また10例のうちIII期2症例ではそれぞれ無再発期間13か月,33か月が得られている.FIGO 26th Annual ReportではIII期手術例の無再発率は1年間で90.5%,2年間で75.5%と報告されており,治療成績としてほぼ同等であると考えられた.【結語】子宮体癌において全身状態から手術困難な症例に対して,放射線治療は手術療法とほぼ同等の成績が得られる可能性が示唆された.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
420-420, 2014
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