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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【一般演題口演】
画像で検出できない小さな卵巣莢膜細胞腫に合併した子宮体癌の1例


福島 治朗, 大森 真紀子, 多賀谷 光, 端 晶彦, 平田 修司
山梨大学産婦人科


【緒言】エストロゲン産生卵巣腫瘍が子宮体癌の原因となりうることが知られている.今回われわれは,MRIなどの画像検査で検出できない小さな卵巣黄体化莢膜細胞腫による高エストロゲン状態により発生した子宮体癌の1例を経験したので報告する.【症例】患者は58歳,2回経妊2回経産,閉経は52歳,既往歴に特記事項なし.超音波検査で5mmの子宮内膜肥厚を指摘され,内膜細胞診を施行したが陰性であった.内膜は10mmとなり,血中エストラジオール(E2)は39pg/mlと閉経後にしては高値であった.定期的に内膜の細胞診,組織診を行ったが陰性であった.不正出血を認めるようになり,内膜は14mm,E2は111.5pg/mlまで上昇し,内膜組織診で複雑性子宮内膜増殖症と診断された.卵巣のエストロゲン産生腫瘍を疑いMRI検査を行ったが,卵巣に腫瘍は認められなかった.子宮内膜全面掻把術を施行したが,異型増殖症や癌は認められなかった.その後も内膜肥厚,E2高値が続くため,患者と相談の上,子宮内膜増殖症の診断で腹式単純子宮全摘出術および両側付属器切除術を施行した.右卵巣に10mm大の黄色調の腫瘍を認めた.病理診断は,子宮体癌,類内膜腺癌,G1で,わずかな筋層浸潤を認めた.右卵巣腫瘍は黄体化莢膜細胞腫であった.術後,E2は5pg/ml未満に低下し,再発は認めていない.【結語】閉経後女性に内膜肥厚を認めた場合には,血中E2の測定が診断上,有用なことがある.エストロゲンが高値の場合には,MRIなどの画像検査で卵巣腫瘍を検索することが重要である.しかし,本症例のように,画像検査で検出できない小さなホルモン産生卵巣腫瘍であっても,子宮体癌の原因となりうることを念頭に置く必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 426-426, 2014


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