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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
子宮体癌妊孕性温存療法開始早期に脱分化が認められた2症例
木村 薫1, 三橋 暁1, 生水 真紀夫1, 清川 貴子2
千葉大学産婦人科1, 東京慈恵会医科大学病理2
【緒言】高・中分化型類内膜腺癌に未分化癌が混在する脱分化型類内膜腺癌は,極めて予後不良である.MPAによる妊孕性温存療法中に,未分化癌成分が出現した症例を経験したので報告する.【症例1】42歳女性,0経妊0経産.子宮内膜全面掻爬術で高分化型類内膜腺癌と診断された.挙児希望が強く,画像上筋層浸潤・転移の疑いのないことを確認してMPAで妊孕性温存療法を開始した.治療3ケ月目の子宮内膜掻爬診で,高分化類内膜腺癌に混じた未分化癌成分を認めた.根治手術を施行(pT1aN0)した.摘出子宮内には高分化類内膜腺癌成分のみが認められた.術後4年間再発を認めていない.【症例2】29歳女性,0経妊0経産.不妊治療中に高分化類内膜腺癌と診断された.画像診断により筋層浸潤・転移の疑いのないことを確認してMPAで妊孕性温存療法を開始した.治療3ケ月目の子宮内膜掻爬診で未分化癌成分の出現を認めた.骨盤・傍大動脈リンパ節転移・右坐骨骨転移・肺転移を認め,手術・化学療法を施行した.温存治療開始17ケ月目に死亡した.【考察】2症例ともMPA投与開始後早期に未分化癌成分が確認されており,MPAによる脱分化誘導あるいは投与開始前から脱分化成分が存在していたなどの可能性も考えられる.1A期子宮内膜高分化型類内膜腺癌は予後良好であるが,子宮温存療法を行う際には脱分化から予後不良となる可能性があることに注意する必要がある.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
427-427, 2014
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