|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
腹腔鏡下手術を契機に診断に至った27歳のWunderlich症候群の1例
島田 佳苗, 三村 貴志, 石川 哲也, 澤登 幸子, 秋野 亮介, 清水 華子, 宮本 真豪, 飯塚 千祥, 森岡 幹, 関沢 明彦
昭和大学医学部産婦人科学講座産婦人科
【はじめに】Wunderlich症候群は,Wolff管とMuller管の発育障害より,重複子宮・子宮頸部留血腫・患側腎無形成を示す稀な頻度の子宮奇形である.多くが若年女児での発症,初経発来後に増悪する月経困難症(モリミナ症状)を機に発見される.今回27歳まで無症状であり,術前卵巣内膜症性嚢胞と画像診断され,腹腔鏡下手術を契機に診断に至ったWunderlich症候群の1例を報告する.【症例】27歳,0回経妊0回経産.前医より不正出血,骨盤内腫瘍にて当院紹介.腟鏡診では,子宮腟部は1つであり腟中隔なし.経腟超音波上は双角子宮,骨盤内腫瘤を認め,MRI画像検査では重複子宮,子宮筋腫,左卵巣内膜症性嚢胞が疑われ,腹腔鏡下手術の方針となる.術中腹腔内所見にて両側卵巣は正常であったが,重複子宮と左子宮頸部付近に7cm大の嚢胞認めた.腹腔鏡下子宮筋腫核出術,経腟的嚢胞ドレナージ術・ドレーン留置術を施行した.術後に病態を再検討し,再精査にて左腎無形成であり,頸部に嚢胞を認めたためWunderlich症候群を疑った.ドレーンが自然抜去し,同部位に頸部嚢胞感染をしたため,子宮頸部開窓術を施行した.その際に子宮頸部の生検を施行し,子宮頸管組織を確認したためWunderlich症候群と確定診断した.【考察】Wunderlich症候群は,若年女児に多く発症し月経困難症を機に発見されることが多い疾患である.本症例のように無症状なまま経過し27歳で発見される症例は少ない.今回,卵巣嚢腫との診断で腹腔鏡下手術が行ったが,両側卵巣は正常であり,子宮頸部嚢胞と診断した.精査後,Wunderlich症候群と診断したが,このような症例があることも踏まえ,術前からの精査が必要と思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
432-432, 2014
|