|
<< 学会誌へ戻る
<< 前のページへ戻る
第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
婦人科の先生方に知ってもらいたいリンパ浮腫の早期診断法と治療法
三原 誠1, 原 尚子2, 椿 浩美1, 河原 真理1, 村井 則之1
済生会川口総合病院血管外科リンパ浮腫専門外来1, 東京大学医学部形成外科・美容外科2
【目的】癌術後の合併症として四肢リンパ浮腫が生じることがあり,長期化するに従い治療抵抗性の重度リンパ浮腫状態(象皮病)となる.複合的理学療法や外科治療法で治療が行われているが,確立した診断法・治療法は現在のところない.今回われわれはインドシアニングリーン(ICG)リンパ管造影法,リンパシンチを用いた早期診断と,リンパ管静脈吻合術(LVA)の効果に関して検討した.【方法】筆頭演者が初回LVAを行った患者124人について検討を行った.除外基準は,術後フォロー1年未満,過去にリンパ浮腫の手術を行った既往,術後の新たな圧迫療法追加とした.【成績】96人が調査対象となり,内訳は男性6人,女性89人で,平均年齢は57.8歳(31〜90歳)であった.下肢リンパ浮腫84人,上肢リンパ浮腫11人であった.浮腫改善度に関しては,残存する症例毎のリンパ機能に相関した.蜂窩織炎発生頻度抑制に関する効果は1年間の平均蜂窩織炎回数は1.6回(0〜12回)であったが,LVA後は0.18回(0〜3回)に減少した.【結論】浮腫の進行抑制に加え,抗生剤投与や理学療法を行っても蜂窩織炎発生が抑制できない症例に対し,LVAによる予防が有用であることが示された.当院では現在,婦人科癌術後にリンパ浮腫が疑われれる症例に対し,リンパ機能の評価を行い,症例毎の有するリンパ機能に合わせた治療の提案を行っている.これまで画一的に診断・治療されてきたリンパ浮腫に関して再考する必要があると思われる.尚,本研究は施設内倫理委員会での承認,患者へのインフォームドコンセントを取得後に実施している.今回は婦人科の先生方に知っていただきたい,早期リンパ浮腫の病態に関しても併せて発表する.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
433-433, 2014
|