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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
腟原発明細胞腺癌の一例
青墳 愛理, 中江 華子, 中林 正雄, 古村 絢子, 杉原 武, 中村 泰昭, 落合 尚美, 五十嵐 敏雄, 梁 善光
帝京大学ちば総合医療センター産婦人科
【緒言】原発性の腟悪性腫瘍は全女性器癌の約1-2%と稀である.また85%は扁平上皮癌で,腺癌は6%と少なく,明細胞腺癌の報告はさらに少ない.我々は不正出血を契機に発見され,腟原発明細胞腺癌と判明した症例を経験したので報告する.【症例】69歳2経妊1経産.20XX年秋に不正出血を認め,近医産婦人科を受診.診察・頚部細胞診にて異常なく経過観察となった.しかし不正出血が持続し,かかりつけ内科でエコー上膀胱内腫瘤を指摘され,尿潜血陽性だったことから当院泌尿器科受診となった.膀胱鏡で異常所見を認めず,問診により血性帯下の自覚が判明.触診上腟前壁に腫瘤を触知したため,当科受診となった.肉眼上,腟壁下部1/3の前壁に外向性に発育する35mm大の腫瘤を確認.病理検査では子宮に異常所見はなく,腫瘤の生検で明細胞腺癌が指摘された.画像検査上も腫瘤は腟壁に限局し,多臓器に原発となる腫瘍がなかったため腟癌と診断.広汎子宮全摘,腟全摘,骨盤リンパ節郭清,鼠径リンパ節郭清術を施行.術後診断は腟明細胞腺癌,FIGO1期だった.術後排尿障害が持続しているが回復は順調で,後療法としてTC3コースを施行.現在まで再発を認めていない.【考察】腟明細胞腺癌の誘因として,胎内でのDES(diethylstilbestrol)などの非ステロイド系ホルモン製剤への暴露が報告されているが,日本では使用されておらず,本症例での誘因は明らかでない.また腟癌の診断には肉眼所見が有用だが,腟鏡に隠れてしまうような腟前後壁の病変や小病変の場合に本症例のように見落とされることもある.本症例を通し,再度臨床において腟癌の可能性を念頭に置くことの重要性を認識することとなった.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
441-441, 2014
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