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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
新生児仮死を合併した10例の吸引分娩
有澤 正義
都立大塚病院検査科
【目的】NRFS(胎児機能不全)の胎盤絨毛の病理所見は虚血性病変,絨毛膜羊膜炎,VUE(Villitis of unknown etiology)が多いと報告されている.緊急帝王切開術に至る新生児仮死の胎盤病理では虚血性病変,絨毛膜羊膜炎,VUEだけでなく,中間絨毛や幹絨毛血管に閉塞や再疎通などの血管病変を認めると報告されている.死産例でも幹絨毛の血管病変が高率認められたと報告されている.このような幹絨毛の血管病変の合併が新生児仮死および児の予後に影響すると報告されている.今回は私は,吸引分娩における新生児仮死の胎盤がどのようであり,緊急帝王切開に至った新生児仮死や死産に至った胎盤とどのように違うのかを明らかにし臨床的な違いも考察したいと考えたので検討した.【材料・方法】10例の吸引分娩で出生し,新生児仮死を合併した児の胎盤病理所見と胎児情報を検討した.【結果】10例の胎盤病理所見では1例も幹絨毛の血管病変を認めなかった.1例の中間絨毛の血管閉鎖を認めた.3例の胎盤に絨毛虚血,2例の胎盤に辺縁出血,4例の胎盤に高度のうっ血を認めた.【考察】胎盤病理検査では吸引分娩で新生児仮死を合併していた例を緊急帝王切開術での新生児仮死や死産と比較すると,吸引分娩で新生児仮死例は幹絨毛の血管病変が少ないという点で分娩前は吸引分娩児は胎盤の病的変化が少なかった.診療録からわかる母体の合併症,分娩時の状態,分娩時間および胎盤病理による子宮内環境を再検討し吸引分娩の新生児仮死の合併を少しでも減らすことを考えたい.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
443-443, 2014
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