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<< 学会誌へ戻る 【緒言】腟壁血腫は分娩後の大量出血の原因となりうる病態であり，産褥期の合併症として注意を払うべき疾患である．今回我々は分娩経過中に発現し経腟分娩不可能と判断した腟壁血腫の症例に対し，速やかに帝王切開術で分娩し，子宮動脈塞栓術，血腫除去術を施行した症例を経験したので報告する． 【症例】33歳，初産婦．妊娠39週4日，自然陣発し分娩進行中に，腟壁血腫形成を認め当院に搬送となった．来院時全身状態は良好，腟壁に長径15cmの血腫を認めた．内診所見は子宮口全開大でStは-3，血腫が産道を圧迫している状態であった．胎児心拍モニタリングは異常を認めなかった．腟壁血腫による分娩停止と判断し緊急帝王切開術を施行した．術後ただちに造影CTを施行し血腫内の動脈性出血を確認した．子宮動脈造影を施行したが，その時点で明らかな動脈性出血は確認できなかった．そのため，シースを留置し常に塞栓できる状態で血腫除去術を施行した． 【考察】腟壁血腫は産褥期に発見されることが最も多く，分娩時の発現は稀である．本症例では，分娩進行中に腟壁血腫が形成され，分娩停止になったと考えられる症例である．腟壁血腫は後腹膜に伸展した場合などにおいては大量出血による出血性ショックをきたし母体生命に関わる場合も少なくない．分娩進行中の腟壁血腫の形成は文献的報告が少なく，治療方針を個々に検討する必要がある． 【結語】分娩経過中に増大傾向のある腟壁血腫は妊娠帰結を優先するか止血操作を優先するかを速やかに検討する必要がある． 関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 444-444, 2014 |
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