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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
経腟分娩後に子宮仮性動脈瘤を呈し治療に難渋し,後天性血友病と診断した1例
川端 英恵, 飯田 朝子, 針金 幸代, 柿栖 睦実, 山口 道子, 間瀬 有里, 西田 直子, 川端 伊久乃, 深見 武彦, 松島 隆, 土居 大祐, 朝倉 啓文
日本医科大学産婦人科
子宮仮性動脈瘤は,動脈壁の破綻により生じた瘤で,本来の血管壁と異なり破裂しやすい.産褥期に大量出血を起こす原因の一つである.子宮内容除去術や帝王切開術における血管損傷で起こるが,経腟分娩後に発症する報告も散見される.一方,後天性血友病は後天性に血液凝固因子に対する自己抗体が生じ出血傾向を呈するものであり,35万出産に1件発症する.今回,経腟分娩後に大量出血し子宮仮性動脈瘤と診断し治療に難渋し,後天性血友病と診断した1例を経験したので報告する.
症例は37歳,1回経妊1回経産婦.正常経腟分娩後,産褥11日目に大量出血した.経腟超音波検査で周囲が高エコーである小さな無エコー領域を子宮内に認め,カラードップラーで同部位に拍動性の血流を認めた.造影CT検査で強い造影効果を示す子宮内病変を2つ認めた.子宮仮性動脈瘤と診断し子宮動脈塞栓術を施行.左子宮動脈上行枝に2つの仮性動脈瘤を認めた.止血し退院したが,産褥23日目に再度中等量出血し,2度目の子宮動脈および内腸骨動脈塞栓術を施行した.造影CT検査で子宮の残存病変に造影効果は消えたが,大腿動脈穿刺部に約1.4cm大の仮性動脈瘤を合併したためゼラチンスポンジを用いて動脈塞栓術を施行した.2回の子宮動脈塞栓術を行ったこと,血管穿刺部に仮性動脈瘤を合併したこと,および初回入院時より血中APTTが延長していることから,内因性凝固異常を疑い精査をした.凝固第8因子活性が1%以下,第8因子インヒビターが陽性であり,分娩後に発症した後天性血友病Aと診断した.現在他院で治療中である.若干の文献的考察を加えて報告する.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
446-446, 2014
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