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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
Meckel-Gruber症候群との鑑別を要したJoubert症候群の一例
京谷 琢治, 森田 晶人, 木暮 さやか, 高木 剛
群馬県立小児医療センター産科
【緒言】近年繊毛病という概念が提唱され,そのうち腎徴候を呈するものにJoubert症候群(JBTS)やMeckel-Gruber症候群(MGS)などがある.これらは同様の異常を呈することが多く,出生前に鑑別することは難しい.今回我々はJBTSの一例を経験したので報告する.【症例】30歳の経産婦.前回は脳瘤+多嚢胞腎+内臓逆位からMGSと診断され,21週で中期中絶している.今回は22週に前医で頭部腫瘤+多嚢胞腎+羊水過少を指摘され,23週で紹介となった.後頭部脳瘤+両側多嚢胞腎+羊水過少を認めたが,多指症が明らかでなかったため,MGS以外にJBTSなどの可能性も考慮した.胸郭低形成も明らかであったため,関係各科と協議し,分娩時と出生後の方針を確認した.40週4日に分娩誘発を行い,女児2916g,Aps3-7を出産した.出生後,マスク&バッグで啼泣あり,口元酸素でNICU入院となった.後頭部に髄液漏を伴う5cm大の脳瘤を認め,両側多嚢胞腎に対しては大量の利尿剤を要した.日齢2に脳瘤切除術を施行,術後全身状態は徐々に改善,自発呼吸は安定し日齢11に酸素を中止した.また,腎不全も軽快し5.5mg/dlまで上昇した血清Cre値も0.9mg/dlまで低下した.その後は経口哺乳も可能となり日齢29に退院となった.特徴的な奇形と頭部MRIでmolar tooth signを認めたことからJBTSと診断した.【考察】従来MGSと考えられていたものの中にJBTSのような他の繊毛病が含まれていた可能性がある.今後は予後の推定を含め,出生前後の対応に慎重を要すると思われた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
448-448, 2014
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