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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
胎児水腫を合併した巨大肝血管腫の一例
西澤 秀光, 吉新 明日香, 叶谷 愛弓, 紀 宏志, 品川 光子, 高木 紀美代, 吉田 志朗
長野県立こども病院産婦人科
【はじめに】胎児期の肝血管腫は肝腫瘍のうち最も頻度が高い.無症状で経過する症例から予後不良の症例まで経過は様々である.今回我々は胎児の肝臓全体を占める巨大肝血管腫を認め,胎児水腫を合併した症例を経験したので報告する.【症例】41歳初産婦.妊娠27週0日に前医で羊水過多を指摘された.妊娠29週0日で胎児水腫および早産早産の診断で当科へ母体搬送となった.初診時の胎児超音波検査で,胎児腹腔内右側に4.9×5.2cm大の腫瘤性病変を認めた.内部は不均一な低エコーで,薄い隔壁で分割され,腫瘤辺縁に血流豊富な部分を認めた.また肝臓の正常構造が確認できず,心拡大,三尖弁逆流および胎児水腫を認めた.胎児MRIで肝右葉の大部分を占拠する病変が見られ,超音波所見と併せて胎児巨大肝血管腫と診断し,高拍出性胎児心不全による胎児水腫と考えられた.妊娠30週4日,胎児機能不全のため緊急帝王切開を行った.出生後の児は外科的治療が困難であり,血管腫に対してステロイド治療が開始されたが効果に乏しく,DIC,心不全,肺高血圧,肺出血などを併発し日齢20に死亡した.【考察】文献では,胎児肝血管腫は胎児心不全のを併発することや,腫瘤がより大きいものほど予後不良であることが報告されている.胎児心不全症例には胎児治療として臍帯静脈からのステロイド投与や母体へのステロイド投与の報告がある.今後,胎児肝血管腫の中でも予後不良と考えられる症例に対してはステロイドによる胎児治療が考慮されるべき選択肢と考えた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
449-449, 2014
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