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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
腹腔鏡補助下手術を行った生殖補助医療による妊娠中の付属器捻転の一例
塩野入 規1, 近藤 壯1, 塩沢 功1, 横井 由里子1, 松本 裕子2
松本市立病院産婦人科1, ラッフルズメディカルジャパニーズクリニック産婦人科2
【緒言】自然妊娠における付属器捻転の頻度は0.01-0.05%であるが,生殖補助医療における卵巣刺激後では6%に上昇すると報告されている.今回,生殖補助医療による妊娠中の付属器捻転を経験したので報告する.【症例】38歳,2経妊0経産,他医でGnRH analog-hMG-hCG法のlong protocolで体外受精-胚移植し妊娠成立した.妊娠11週2日,AM5時頃より腹痛出現し当院を受診した.AM7時の超音波検査では右卵巣は径45.8mm,左卵巣は径39.7mm,ダグラス窩に深さ約20mmの液体が貯留し,右卵巣に一致して圧痛を認め卵巣過剰刺激症候群に伴う右卵巣捻転を疑った.手術を計画したが一時的に疼痛軽快し,捻転の自然解除と判断し経過観察とした.しかし,同日夕刻より再度腹痛が増悪し,超音波検査で右卵巣は径84.7mmに腫大したため右卵巣捻転と診断し腹腔鏡補助下に手術を行った.恥骨上で3cmの縦切開をおき単回使用開創器を設置した.芦田らの方法に準じて気腹圧6mmHgに留め,開創器のフラップを牽引することで視野を確保した.腹腔内には淡褐色透明腹水を認め,右卵巣は暗赤色に腫大し易出血性であり温存は困難と判断し右付属器切除を行った.病理組織学的検査では卵巣に最大径10×5mmの漿液性嚢胞腺腫を認めた.経過良好で術後8日目に退院した.妊娠経過は順調であり,他医において妊娠40週5日に経腟分娩となった.児は3098g,女児,Apgar score 9/9,全身状態良好であった.【結語】近年,肉眼的に虚血性変化を認める卵巣においても,捻転解除により機能回復が期待できるとの報告がみられる.術中所見に加えて,妊娠や卵巣刺激などのリスク因子による再捻転の可能性も考慮して術式を選択する必要があると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
451-451, 2014
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