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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
傍卵巣嚢胞と診断し腹腔鏡下手術で低異型度虫垂粘液性腫瘍と判明した1例
野崎 敬博, 深澤 宏子, 笠井 剛, 端 晶彦, 平田 修司
山梨大学産婦人科
【緒言】低異型度虫垂粘液性腫瘍(low-grade appendiceal mucinous neoplasm;LAMN)はまれではあるが,腹膜偽粘液腫の原因となりうる疾患である.今回,我々は傍卵巣嚢胞の術前診断で腹腔鏡下手術を行い,LAMNと判明した症例を経験したので報告する.【症例】43歳,4経妊3経産.近医にて骨盤内腫瘤を指摘され,精査加療目的に当科紹介となった.経腟超音波で子宮頭側のやや左側に6 cm大の充実性を疑う腫瘤を認めたが,MRIでは同腫瘤は長径57 mmの単房性嚢胞性病変であり,壁は薄く充実成分を認めず,嚢胞内容は水信号であった.子宮および両側卵巣との連続性がないことより傍卵巣嚢胞と診断された.腹腔鏡下での切除の方針となり手術を施行した.腹腔内を検索すると,子宮付属器領域に腫瘤は認めず,虫垂が腫大していたため,腹腔鏡下虫垂切除術を施行した.術後経過は良好であり,術後7日目に退院となった.病理組織検査では,LAMNの診断であった.【考察】LAMNは組織学的には良性疾患ではあるが,破裂や粘液の漏出で腹膜偽粘液腫をきたし得るなど臨床的に悪性の性格を示すことがある疾患であり,手術適応がある.しかし経腟超音波やMRIでは,傍卵巣嚢胞や卵管留水症との鑑別が難しく,経過観察されてしまう危険がある.本症例では,正常卵巣が別に存在し,超音波所見で内容物の輝度が傍卵巣嚢胞としては典型的ではなかった.このような場合は,鑑別としてLAMNを挙げ,腸管との連続性を確認するために造影CTを施行することも考慮すべきであると考えられた.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
452-452, 2014
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