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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【一般演題口演】
妊娠中にリステリア感染症を来たした2例


菅野 俊幸, 三谷 穣, 小平 賢介, 高田 優子, 鈴木 志帆, 橋本 誠司, 劉 樺, 金野 潤, 高橋 伸子, 小川 正樹, 牧野 康男, 松井 英雄
東京女子医科大学産婦人科


【緒言】リステリア症は妊婦に感染した場合,数日から数週間で流産,早産,死産に至り,感染児の致死率は20-30%と重篤な転帰を辿る.今回 我々は妊娠中にリステリア感染症を来たした2例を経験したので報告する.【症例】症例1:29歳初妊産婦.妊娠27週6日,39℃の発熱にて入院.抗菌薬投与開始.妊娠28週2日に遅発性一過性徐脈を頻回に認め,胎児機能不全の診断で緊急帝王切開術施行.児は出生体重1,292 g,男児,Apgar score 1分値3点/5分値9点であった.入院時の血液培養よりリステリア症と診断.母体にAminobenzylpenicillinとGentamycinを14日間投与した.血液培養陰性を確認し術後16日目に退院となった.児に感染徴候は認めなかったが,抗生剤投与.出生直後より左孔脳症を認めた.精神発達は正常であるが,手の麻痺にてリハビリ中である.症例2:34歳初妊産婦.IgA腎症のためプレドニゾロン10 mg内服していた.妊娠31週0日,38℃の発熱を認め,入院.胎児心拍陣痛図で基準心拍数170 bpmの胎児頻脈を認め,子宮内感染の診断で緊急帝王切開術施行.児は1,454 g,女児,Apgar score 1分値1点/5分値1点であった.児は重篤な感染にて治療に反応せず,生後4時間で永眠となった.入院時の母体腟培養,尿培養,血液培養は全て陰性であったが,新生児の咽頭,皮膚,便培養よりリステリア症と診断された.母体は術後Sulbactam/Ampicillinを4日間投与.術後経過良好であり術後6日目に退院となった.【考察】妊娠中のリステリア症は児の重篤な合併症を起こしうるため,早期の診断,加療が重要である.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 455-455, 2014


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