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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))
【一般演題口演】
腸閉塞を発症し腹腔鏡下手術で根治しえた小腸内膜症による回盲部狭窄の一例
松澤 奈々, 青木 洋一, 野島 美知夫, 田嶋 敦, 鈴木 千賀子, 窪 麻由美, 山本 恵理子, 都築 陽欧子, 河村 彩, 笠原 華子, 中尾 聡子, 吉田 幸洋
順天堂大学浦安病院産婦人科
【緒言】子宮内膜症は子宮附属器周囲に頻発し,月経困難症や不妊症など患者のQOLを低下させる原因となることが多い.まれに膀胱や腸管などの他の臓器に病変が浸潤し,機能障害を来たすことがある.今回我々は腸閉塞で発症し回盲部の完全閉塞を認めた症例に対し,消化器外科と合同で腹腔鏡下手術を施行し完遂したので,これを報告する.【経過】50歳女性0g0p月経に伴う下腹痛で前医受診し腸閉塞の診断で前医に入院となった.CT上卵巣腫瘍を認めたため当科紹介入院となった.イレウス管を挿入するも腸閉塞の症状改善なく,イレウス管造影検査にて回盲部の完全閉塞を認めたため,回盲部の外科的切除の適応となった.腹腔鏡下手術を施行し,回盲部腸管を遊離し体腔外へ誘導したところで回盲部切除した.切除腸管を吻合したのちに右附属器を切除した.ダグラス窩は完全閉塞の状態であり,癒着剥離術を施行したが,術中腸管損傷疑いが生じたため,リークテストを施行したが,明らかな損傷は認めなかった.上腹部など腹腔内の他の部位には明らかな内膜症の病変は認めなかった.【結果】病理診断:Endometriosis of small intestine.Endometriotic cyst of ovary.摘出検体の回腸粘膜固有層や固有筋層に異所性子宮内膜が散在していた.術後1日目より飲水開始し,術後3日目から食事開始となった.術後には腸閉塞等の合併症なく11日目に退院となった.【考察】腸管内膜症はダグラス窩周囲の高度な癒着を伴い,直腸に認めることが多いが,今回は高度癒着部位より離れた小腸に病巣を形成していた.子宮内膜症は,小腸にも発生し腸閉塞の原因となりうることが分かった.
関東連合産科婦人科学会誌, 51(3)
457-457, 2014
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