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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【一般演題口演】
貧血を伴った巨大卵巣チョコレート嚢胞に対し腹腔鏡下手術を施行した二例


野村 由紀子, 幸本 康雄, 野村 奈央, 吉野 佳子
荏原病院産婦人科


 貧血を伴った巨大卵巣チョコレート嚢胞に対し腹腔鏡下手術を施行した二例を経験したので報告する.【症例1】38歳未経妊.過多月経あり.検診で貧血(Hb7.7g/dl)および下腹部腫瘤を認めたため当院内科受診.CTにて18cmの巨大卵巣嚢腫を疑い当科へ紹介.MRIにて右卵巣チョコレート嚢胞と診断した.また2cmの筋層内筋腫も認めた.CA125:90IU/L,他の腫瘍マーカーは正常.貧血改善後に腹腔鏡下右付属器摘出術と筋腫核出術を施行.臍部からの鏡視下に嚢胞を穿刺し内容吸引,縮小させ付属器を摘出した.【症例2】30歳未経妊.過多月経あり.下腹痛のため受診した内科で下腹部腫瘤を指摘.経腹超音波にて巨大嚢胞性病変および貧血(Hb7.5g/dl)を認め当科へ紹介.MRIにて19cmの右卵巣チョコレート嚢胞と診断した.また小さな子宮内膜ポリープを認めた.腫瘍マーカーは正常.貧血改善後に子宮内膜ポリープ摘出術および症例1と同方法で腹腔鏡下右付属器摘出術を施行.2症例とも術後経過は良好で,病理組織検査は内膜症性嚢胞であった.巨大な卵巣チョコレート嚢胞でも悪性の可能性が低いと判断した場合は,腫瘍を縮小させるまでの術野の制限や腫瘍内容漏出のリスクはあるものの,腫瘍を穿刺吸引することで腹腔鏡下手術を安全に遂行できると考えた.また2症例とも併存子宮疾患による過多月経が貧血の原因となり得るが形態的に主要な原因とは考えにくく,増大した内膜症性病変からの出血増加が貧血に関与した可能性も考えられた.巨大チョコレート嚢腫と貧血との因果関係を示す文献は過去に認めておらず,今後も症例の蓄積と検討が必要である.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 458-458, 2014


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