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第128回学術集会(平成26年10月25日(土),26日(日))

【一般演題口演】
卵巣ステロイド細胞腫瘍の一例


春日 晃子, 林 忠佑, 大西 美也子, 高田 眞一, 山本 樹生
日本大学医学部附属板橋病院産婦人科


【はじめに】 今回,悪性卵巣腫瘍と疑い摘出手術を行った結果,ステロイド細胞腫瘍であった症例を経験した. 【症例】 症例は36歳,5回経妊2回経産.1ヶ月前に不正性器出血を認め前医を受診した.右卵巣腫瘍を認め,CTで卵巣がんの可能性がある旨の読影報告であったため,当院紹介受診した.当院でのMRIでは右卵巣が径6cm大で多房性に腫大し,漿液性嚢胞腺癌を疑った.腫瘍マーカーはCA125,CA19-9,CEAは基準値内であった.1ヶ月後に右卵巣摘出術を施行した.右卵巣は直径7cm大に腫大し,黄褐色充実性で,部分的に嚢胞形成を伴っていた.左卵巣は肉眼的に異常所見はなく,生検は行わなかった.病理組織は中等度の核異型および類円形の形態を示し好酸性ないし明澄な細胞質を有していた.一部の細胞は多核で核溝を有するものが認められたが,mitosisやReinke結晶および壊死は明らかではなかった.免疫組織化学的検査も合わせてステロイド細胞腫瘍,分類不能型と診断した.現在追加治療なく経過観察を行っている. 【考察】 ステロイド細胞腫瘍,分類不能型が占める割合は全卵巣腫瘍のうち0.1%以下で,3〜80歳の幅広い年齢層に認められ,中年女性に好発する.境界悪性病変と考えられており,自験例は暫定的にStage1Aと判断し,Hayesらが提唱する悪性病変を示唆する所見(顕微鏡10倍視野中に2つ以上の有糸分裂あるいは壊死像を認めること,腫瘍径が7cm以上であること,出血があること,grade2〜3の核異型があること)は明らかではないため,追加治療は行わなかった.しかし,比較的早期に再発や転移をきたした報告もあるため,注意深く経過観察を行っている.


関東連合産科婦人科学会誌, 51(3) 458-458, 2014


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