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【原著】
皮膚筋炎に合併した卵巣癌の一例


高島 明子, 安田 豊, 深谷 暁, 矢野 ともね, 木下 俊彦, 伊藤 元博
東邦大学医学部付属佐倉病院産科婦人科学教室


 皮膚筋炎は悪性腫瘍の合併を一般集団の5〜7倍と高率に認める膠原病である.本邦では皮膚筋炎合併卵巣癌についての報告は散見されるのみで,癌治療が皮膚筋炎に対してどのような影響を及ぼすかは症例数も少なく明確ではない.今回皮膚筋炎をきっかけに発見された卵巣癌の一症例を報告する.
 症例は52歳,1経妊1経産,閉経51歳.徐々に全身に拡大する紅斑及び四肢近位筋を中心とする筋力の低下,発熱が出現し,精査にて皮膚筋炎と診断された.悪性腫瘍のスクリーニング目的にて当科を受診.骨盤内に不整な腫瘍及び腹水を認めた.腹水の細胞診はClass V,adenocarcinomaと診断された.CA125,CA72-4,STNなどの腫瘍マーカーの異常高値およびKL-6の上昇を認めた.卵巣癌の診断にて,腹式単純子宮全摘,両側付属器切除,骨盤内リンパ節郭清,大網切除,右半結腸切除術を施行した.術後病理診断はserous papillary adenocarcinoma stage IIIcであった.術後TJ療法を施行し,腫瘍マーカー,KL-6の陰性化及び皮膚筋炎症状の改善を認めた.

Key words:Ovarian Carcinoma, Dermatomyositis, Case report, KL-6

日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(1) 15-19, 2005


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