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第105回学術集会(平成15年6月8日)

【シンポジウム1】
子宮筋腫の治療を再考する―妊孕性温存を含めたQOLの改善を目指して―
4.選択的子宮動脈塞栓術


安藤 索
杏林大学


 子宮動脈塞栓術(Uterine artery embolization:UAE)は子宮筋腫に対する治療法として1995年にRavinaらが良好な治療成績を報告して以来,全世界的に普及した.当教室では1999年12月より子宮筋腫に対し非開腹的治療法として両側の選択的子宮動脈塞栓術を行い,2003年2月までに約140症例に施行した.今回,子宮動脈塞栓術の適応,方法ならびにその治療効果を報告する.
 子宮筋腫による過多月経,不正出血,貧血,圧迫症状などを有し,手術適応を有するも開腹手術治療を希望しない症例で,インフォームド・コンセントを得られた者を対象とした.妊娠例,急性骨盤内炎症,動静脈奇形,未診断腫瘤ならびに造影剤アレルギー症例は除外した.右鼠径部大腿動脈を穿刺,骨盤内血管造影を行い,続いてシェファードフックカテーテルを左総腸骨動脈から左内腸骨動脈へ進め,左子宮動脈へ選択的にマイクロカテーテルを挿入する.できるだけ筋腫核のみが造影される部位でカテーテルを固定し,吸収性塞栓物質であるゼラチンスポンジを用い塞栓を行った.筋腫が造影されず,血流の遮断されたことを確認できたら右側に移る.同様に右子宮動脈までカテーテルを進め塞栓物質の注入を行う.塞栓後筋腫が造影されないことを確認する.また術直後から生じる疼痛に対しては持続的に塩酸モルヒネ40mg,ドロペリドール5mgの皮下投与をPatient-controlled analgesic(PCA)ポンプを用いて行った.疼痛の強度により追加投与を行い,無効例にはnonsteroidal anti-inflammatory drugs(NSAIDs)を併用した.両側の子宮動脈塞栓には約1〜1時間半を要したが,最近ではシェファードフックカテーテルの改良型を用いることによりカテーテルを1本のみで行うことにより塞栓時間の短縮が可能となりつつある.また入院期間は大多数の症例で2泊3日であった.
 子宮動脈塞栓術施行後3ヶ月以上経過観察を行い得た子宮筋腫108症例,筋腫核202個に対し検討を行った.MRIによる筋腫核及び子宮容積は治療前に比較しそれぞれ1ヶ月後平均76.7%,88.9%,3ヶ月後59.4%,73.1%,6ヶ月後50.1%,63.7%,1年後48.1%,61.8%,1年6ヶ月後46.9%,41.5%,2年後35.6%,38.4%と著明な縮小が認められた(p<0.05).筋腫の発生部位別に縮小効果を検討すると,UAE施行3ヶ月までは筋層内,漿膜下,粘膜下で有意差は認められないが,6ヶ月以降粘膜下筋腫は有意な縮小が認められた(p<0.05).筋腫核のサイズ別縮小効果を10cm以上,10〜5cm,5cm未満の筋腫に分類して検討したが,有意差は認められなかった.血中LH,FSH,E2値はUAE前後で有意な変化は認められなかった.また超音波断層法,MRI検査にて長期経過観察できた症例で筋腫の再増大は認められなかった.これまでに当科ではUAE後2例が妊娠し,1例が正常分娩し,もう1例は妊娠継続中である.
 子宮筋腫に対する新たな治療法の一つとして選択的子宮動脈塞栓術は様々な筋腫に対して十分な縮小効果が得られ,術後再増大もなく,開腹手術に比較し侵襲も少なく有効な治療法と考えられた.妊孕性に関しては,今後更に症例を重ね検討を要すると思われる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 40(2) 147-147, 2003


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