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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
妊娠分娩3
大量の血小板輸血を要した血小板無力症合併妊娠の一例


山中 誠二, 渡辺 尚, 新井 富士美, 大口 昭英, 松原 茂樹, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科


 大量の血小板輸血を要した血小板無力症合併妊娠の分娩管理を経験したので,患者の承諾を得た上で報告する.症例は22歳の初産婦.6歳時に大量鼻出血と輸血歴があり,本症と診断された.19歳時に抜歯の既往あり,父親の血小板が輸血され,抜歯直前の出血時間は15分で,抜歯後の止血は問題がなかった.妊娠9週1日に当科初診.ADP,コラーゲン凝集能欠如,リストセチン凝集能あり,出血時間は1時間以上であった.妊娠経過中はとくに問題なく,HLA適合血小板を輸血後に選択的帝王切開とする方針とした.妊娠37週1日,HLA適合血小板40単位輸血後の出血時間は30分以上で血小板数も増加せず,この日の手術を中止した.翌日,血小板35単位輸血後の出血時間も30分以上,さらに20単位輸血後の出血時間は11分30秒に短縮,血小板数も増加してきたため,10単位の血小板輸血を実施しながら帝王切開術を施行した.術中総出血量は930ml,2658gの男児を分娩,Apgar scoreは8/9(1分/5分)であった.術後さらに血小板10単位,術後1日目に20単位を輸血した.その後も異常出血を認めず,母児共に経過良好で7日目に退院した.本例では最初の40単位の血小板輸血では出血時間は短縮せず,血小板数も増加しなかった.その原因として,患者血中に自己血小板には反応しないが他人の正常血小板には反応するような抗血小板抗体が存在していた可能性を考え,精査したところ,輸血前の患者血清中より抗GPIIb/IIIa抗体の存在が確認された.大量の血小板輸血により患者血中のこの抗血小板抗体が消費され,抗体結合能を上回るだけの量の血小板が輸血されてはじめて,輸血血小板による止血が可能となったものと考えられる.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 266-266, 2004


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