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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
妊娠分娩4
妊娠中に診断された褐色細胞腫合併妊娠の1例


近藤 理絵, 芦田 敬, 酒井 美幸, 岡 賢二, 北 直子, 金井 誠, 小西 郁生
信州大学産婦人科


 妊娠に合併した褐色細胞腫の頻度は約5万妊娠に1例と極めて稀である.さらに診断がされていない場合は,母児共に死亡率が高いと報告されている.今回我々は妊娠中に発見された副腎腫瘍が褐色細胞腫と判明し,その後慎重に管理し良好な結果を得た1例を経験した.症例は30歳の初産婦.妊娠17週に突然の右側背部痛を認めたため前病院を受診したところ,右副腎腫瘍を認めた.入院後の精査により,尿中バニル・マンデル酸(VMA)値の上昇を認めたため,褐色細胞腫と診断され,αブロッカーの投与が開始された.前医での周産期管理が困難と判断され,妊娠25週当院に母体搬送となった.なお妊娠初期より高血圧は認めなかった.
 当院での精査でも,褐色細胞種と診断した.さらに肝臓には2個の腫瘤を認め,褐色細胞腫の転移の可能性も疑われた.一般に褐色細胞腫の手術を安全に行うためには,血圧のコントロールと循環血液量を維持するために,十分なαブロッカーを投与する必要がある.本症例は妊娠中のためαブロッカーをゆっくりと慎重に増量し,胎児成熟と投与量から妊娠34週に帝王切開術を施行する方針とした.
 経過中に血圧の変動はなく,胎児発育も良好であった.αブロッカーを予定量まで増量し,妊娠34週に帝王切開術を施行した.術中・術後経過は良好であり,帝王切開後22日目に副腎腫瘍摘出術を施行した.肝腫瘍は精査の結果,血管腫と判明した.術後の尿中VMAは正常化し,経過良好のため母児共に退院となった.
 褐色細胞腫合併妊娠において腫瘍摘出術と分娩の時期の決定には,診断された時点での妊娠週数と十分なαブロッカーの投与量に達する週数,胎児成熟,転移の有無を評価することが重要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 270-270, 2004


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