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第108回学術集会(平成16年10月10日(日))

【一般演題】
卵巣良性腫瘍
Meigs症候群の2例


椙田 賢司, 菊池 淳, 篠原 佳枝, 山代 美和子, 高田 眞一, 栃木 明人, 山本 樹生
日本大学板橋病院産婦人科


 良性充実性卵巣腫瘍に胸腹水を伴うMeigs症候群は,摘出手術によって胸腹水が消失することが知られている.しかし,良性疾患といえども,診断が確定するまでの間に胸腹水が大量に持続的に貯留する場合は,悪性疾患の存在の可能性にも注意を払い続けなければならず,その管理に苦渋する.われわれは,胸水コントロールに時間を要したMeigs症候群の2例を経験した.症例1は66歳,2G2P,閉経52歳.5ヶ月前から腹部膨隆を自覚するも放置していたが,咳嗽が出現したため緊急入院した.約15×20cmの卵巣嚢胞性病変と胸腹水の貯留を認めたため,胸水持続ドレナージを開始した.胸水の細胞診はクラス2,血清腫瘍マーカーはCA125が270.9U/ml,SLXが62U/ml. 4週間かけて胸水を減少させ,開腹術を行い,腫瘍摘出術を施行した.症例2は76歳,1G1P,閉経50歳.約1年前から腹部膨隆を自覚し放置していたが,腹部症状が増悪したため近医受診し,下腹部腫瘤と胸腹水が発見されたため緊急入院した.直径約11.5cmの卵巣腫瘍を確認した.胸水持続ドレナージを開始し,腹腔穿刺も2回行った.胸水の細胞診はクラス2,血清腫瘍マーカーはCA125が970.6U/ml,CA130が1000U/mlであった.胸水の減少を待って入院から5週間後に開腹術を行い腹式単純子宮全摘術と両側付属器切除術を施行した.両症例とも術後胸腹水は漸次減少し消失した.術後病理組織診断は卵巣莢膜線維腫であった.Meigs症候群は,胸腹水の貯留を伴うため悪性疾患との鑑別とともに,胸水の管理に注意を要する.文献的な検討も加えて本疾患の管理対応について考察する.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 41(3) 297-297, 2004


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