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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
妊娠・分娩(9)
インフルエンザ様症状を呈し発症した妊娠37週リステリア感染症の一例


渡辺 昇一
勝楽堂病院産婦人科


 妊娠経過中,特に冬季,発熱を主訴に来院される妊婦を多く経験する.そのほとんどが,感冒症候群,インフルエンザ等の感染症である.今回我々は,突然の発熱,関節痛にて来院した妊娠37週のリステリア感染症を経験したので,文献的考察を含め報告する.症例は39歳,1経妊0経産.妊娠経過中特記すべきこと無かった.妊娠37週4日,突然の発熱,関節痛を主訴に来院.NSTにて頻脈およびvariabilityの低下を認め子宮内感染症の診断にて帝王切開を行った.児は2924 g,Apgar score6点呼吸状態不良にてNICUへ搬送とした.術中羊水よりGBS(+)リステリア(+)また,新生児血液培養よりリステリア(+)であった.母体は術後敗血症となったが多剤抗生物質治療にて軽快.また,新生児も抗生物質治療にて軽快退院した.リステリアは特に周産期,新生児期に感染するとしばしば致命的な病態を取る.今回経験した症例より母体の突然の発熱の原因にA群溶連菌同様,リステリアの可能性もあることを念頭に入れて診断,治療を行う事が肝要と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 350-350, 2005


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