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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
卵巣癌(4)
卵巣癌術前に深部静脈血栓症を発症し下大静脈フィルター挿入,ネオアジュバントケモセラピーを先行した一例


森 かおり, 隠野 理恵, 金村 良治, 中山 裕敏, 園田 隆彦, 荻野 雅弘
東京警察病院産婦人科


 静脈血栓塞栓症は,わが国では比較的まれであるとされていたが,近年では急速に増加している.今回,我々は下肢静脈瘤を合併した卵巣癌症例が深部静脈血栓症を発症,そのため手術を延期し下大静脈フィルターを挿入,ネオアジュバントケモセラピー(ドセタキセル+カルボプラチン)を先行し手術した一例を経験した.本症例の管理など,文献的考察を含めて報告する.(症例)66歳女性,未経妊.(既往歴)未治療の両側下肢静脈瘤.(現病歴)2ヶ月前より腹部膨満感自覚し,増悪傾向にあったため受診.腹部CTにて骨盤内に131216 cmの多房性嚢胞性で一部充実性成分を有する腫瘤を認めた.また,大量の腹水を認め,腹水細胞診でclass5,adenocarcinomaとの診断であったため,卵巣癌の診断で手術目的にて入院となった.(入院後経過)入院後より,下肢の腫脹・圧痛が増悪したため,下肢静脈造影を行ったところ,右内腸骨静脈の閉塞を認めた.深部静脈血栓症と診断し,直ちに抗凝固線溶療法を開始した.また,胸部CTおよび肺血流シンチにて肺塞栓症を合併していないことを確認し,予防目的にて永久型下大静脈フィルターを挿入した.その後,ネオアジュバントケモセラピーを2コース施行し,腫瘍はφ10 cm大に縮小,腹水は減少したため,その後手術を行った.現在まで静脈血栓塞栓症の再発は認めず,術後経過は良好である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 374-374, 2005


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