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第110回学術集会(平成17年10月15日(土),16(日))

【一般演題】
その他(3)
後腹膜留置ドレーンが原因と考えられた術後肺塞栓症の一例


深澤 宏子, 笠井 剛, 島 崇, 奈良 政敏, 大森 真紀子, 端 晶彦, 平田 修司, 星 和彦
山梨大学医学部産婦人科


 肺血栓塞栓症は産婦人科手術における周術期の重篤な合併症であり,その予防の重要性は広く認識されている.当科では周術期に弾性ストッキングの着用あるいは間欠的下肢静脈圧迫法を行い,悪性腫瘍症例に対しては,さらに術前よりheparinの投与を行っている.今回,術前より肺血栓塞栓症の予防を行っていたにもかかわらず,後腹膜留置ドレーンが誘因となったと考えられる術後肺塞栓症を経験したので報告する.症例は54歳,子宮頸癌Ibの診断で当科に紹介された.既往歴に特記すべきことはなかった.身長145 cm,体重51.5 kg,BMI 24.5で,術前の血液検査でD-dimerは0.9 μg/mlと軽度上昇していたが,骨盤CTにより術前の血栓の存在は否定されていた.術前より,heparinの投与(5000単位を1日2回皮下注射)を行い,間欠的下肢静脈圧迫法も併用して,広汎子宮全摘術(手術時間6時間40分)を施行した.術後約30時間後,突然呼吸苦の訴えがあったため精査したところ,SpO275%,PaO237.8 mmHg,PaCO238.7 mmHgであり,肺塞栓症を疑い緊急CTを施行し,右肺動脈入口部に血栓を確認した.肺動脈造影を行い,カテーテルにて血栓除去術を施行した.下肢の血管造影で右後腹膜ドレーンによる右外腸骨静脈の圧迫と,末梢側の血液のうっ滞が認められた.明らかな血栓は存在しなかったためドレーン抜去を行ったところ,同部位の血流が正常に戻ったことから,本症例は後腹膜留置ドレーンが誘因となった肺塞栓症と考えられた.特に悪性疾患では積極的な予防法を行った上で,肺塞栓症発症に対するさらなる注意が必要と考えられた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 42(3) 393-393, 2005


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