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第112回学術集会(平成18年10月29日(日))

【一般演題】
子宮良性疾患2
非交通性副角子宮,同側卵巣チョコレート嚢胞破裂により急性腹症を引き起こした15歳の一例


岡本 香織, 木村 博昭, 江口 修, 小倉 孝一, 神山 正明, 松嵜 理
国保君津中央病院産婦人科


 (緒言)10代で子宮内膜症の発症は稀といわれるが,子宮奇形のある若年者にはしばしば見られることが知られている.今回,われわれは片側腎無形成,非交通性副角子宮の奇形を持つ15歳の女児に発症した,卵巣チョコレート嚢胞の破裂による急性腹症の一例を経験したので,その臨床および病理学的所見について報告する.(症例)15歳7ヶ月,未経妊未経産.初経11歳,月経周期30日,月経困難あり.最終月経4月20日より6日間.5月3日下腹痛,嘔吐,発熱があり近医受診,感冒の診断で消炎鎮痛剤の投与をうける.同月19日,左下腹部に激痛が出現し近医を受診,卵巣嚢腫を指摘され当院へ紹介となる.来院時,腹部全体に圧痛と筋性防御をみとめ,WBC 14500/ml CRP 18.76mg/dlと強い炎症所見がみられた.超音波検査,MRI検査などにより,子宮奇形(非交通生副角子宮)と左卵巣チョコレート嚢胞破裂による腹腔内出血と考え,緊急手術を施行した.腹腔内には暗赤色の血液が充満しており,長径7cm大の副角子宮と,同側に径9cm大の卵巣チョコレート嚢胞を認めた.副角子宮,同側付属器,大網の一部を切除し,閉腹.病理学的にも副角子宮は非交通性であり,子宮・卵巣・卵管の漿膜,大網に異所性内膜症組織,ヘモジデリン沈着を伴う肉芽の形成等,内膜症の所見を認め,非交通生副角子宮,同側卵巣チョコレート嚢胞,子宮内膜症の診断となった.術後,月経周期は順調であり,月経困難は消失している.(結語)若年者での内膜症の発症はまれとされるが,実際は慢性的な腹痛の原因としてしばしば存在することが知られており,とくに腟閉鎖や内膜閉塞性の子宮奇形を持つ場合もあるため,若年者であっても内膜症を念頭において診療にあたる必要があるだろう.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 43(3) 297-297, 2006


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