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第115回学術集会(平成20年6月15日(日))

【一般演題】
産科出血II
羊水塞栓症の関与が強く示唆された弛緩出血の一例


中野 千枝, 松田 義雄, 秋澤 叔香, 川道 弥生, 三谷 穣, 牧野 康男, 太田 博明
東京女子医科大学産婦人科


 羊水塞栓症の関与が強く示唆された弛緩出血の一例を報告する.症例は33歳,1回経産婦で家族歴や既往歴に特記事項なし.妊娠39週0日,前医で鉗子分娩施行.分娩後2300ml以上の大量出血を認めたため,子宮破裂の疑いで当院へ緊急搬送となる.頸管裂傷は認めず,超音波検査にても腹腔内出血は認めなかったが,子宮口からの持続的な外出血が続き,産科DIC(播種性血管内凝固症候群)スコアは14点にてDICを併発したと診断したため腹腔内精査も含め,試験開腹術を選択した.開腹したが出血点をみとめず,子宮収縮を試みるも著効せず,やむなく子宮摘出術を施行したが,全出血量は4700mlに及んだ.輸血と抗DIC療法を施行しながらICUに入室.翌日抜管し以後順調に経過,10日目に退院した.子宮の摘出病理組織標本では,子宮頸部の静脈内にみられる血栓中に,羊水由来と考えられるalcian blue陽性物質や扁平上皮細胞が認められた.羊水塞栓症と矛盾しないとの病理組織報告であった.また,羊水塞栓症を示唆する血清中亜鉛コプロポルフィリン値は2.5pmol/ml(cut off 1.6pmol/ml)と高値であった.本症は羊水中の組織トロンボプラスチンが血管内凝固を引き起こしDICを呈した結果,弛緩出血を惹起したものと考えられた.羊水塞栓症では,急性の呼吸循環不全とDICを併発し極めて重篤な経過を辿る重症例もあるが,そこまでに至らない本症例のような不全型が存在することを念頭におき,管理することが必要と思われた.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 45(2) 141-141, 2008


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