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第118回学術集会(平成21年11月7日(土),8日(日))
【一般演題】
胎児異常1 胎児期に巨大膀胱を認めた慢性腸偽閉塞症候群(CIPO)の一例
西村 俊夫, 竹中 俊文, 高木 剛
群馬県立小児医療センター産婦人科
【緒言】慢性腸偽閉塞症候群(CIPO)は麻痺性の腸閉塞を発症する疾患で,機械的な閉塞要因がないにも関わらず腸管拡張を来たし,羊水過多や巨大膀胱,水腎症を合併することも多い.今回我々は胎児期に巨大膀胱を呈したCIPOの1例を経験したので報告する.【症例】42歳.2経妊1経産.妊娠初期より近医にて妊婦健診施行.29週2日より腸管拡張像,31週2日より膀胱拡張像を認めた.その後膀胱縮小したため経過観察としていたが,33週1日に再度膀胱拡張認め,33週4日前医紹介受診.膀胱拡張とびまん性に拡張した腸管像を認め,33週5日当院紹介受診.初診時超音波検査およびMRIにて巨大膀胱と腎盂・腎杯・尿管の軽度拡張あり,後部尿道弁または巨大膀胱狭小大腸腸蠕動不全症候群(MMIHS)が疑われた.その後当院外来にて経過観察するも,膀胱は拡張と軽度の縮小を繰り返し,腎盂の拡大は消失した.腸管は軽度拡張〜拡張像の消失を認めていた.38週6日に陣痛発来し,同日正常経膣分娩.男児 2668g Apgar score:9-9.児は当院外科に入院し,同日注腸造影施行.円筒様の大腸を認め,慢性特発性偽性腸管閉塞症候群(CIIPS)またはMMIHSが考えられた.児の出生後の所見は胎児期とは異なり巨大膀胱,腸管の拡張,腸蠕動の減弱が継続して続いており,IVH管理としている.【考察】CIPOは10万人に1人と非常に稀な疾患であり,臓器の神経症または筋症による腸管,膀胱機能障害がその原因と考えられている.胎児期に膀胱拡張を認めた場合には,腸管系の疾患も念頭におきながら鑑別する必要があると考えられる.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 46(3)
257-257, 2009
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