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第119回学術集会(平成22年6月13日(日))
【一般演題】
悪性腫瘍@ ・laparoscopically-assisted myomectomy(LAM)後に発症し,化学療法が奏効した骨盤内平滑筋肉腫の1例
中尾 光資郎, 西村 俊信, 水谷 亜紀子, 宮本 純考, 中村 学, 富田 初男, 安藤 昭彦
さいたま赤十字病院産婦人科
子宮平滑筋肉腫は稀であり,術前における子宮筋腫との鑑別が非常に困難,さらには標準的治療がいまだ確立されていない疾患である.さらに近年,子宮筋腫に対する手術療法として,より低侵襲な方法が選択されている.今回我々はLAMにて子宮後壁由来のBizarre leiomyomaと診断され,その後,急速増大し,手術療法,化学療法(IEP:イフォスファミド・エピルビシン塩酸塩・シスプラチン)が奏効した骨盤内平滑筋肉腫症例を経験したので報告する.症例は41歳,4経産.LAM施行14ヶ月後,排尿・排便困難・発熱を主訴に受診,骨盤内に小児頭大の腫瘤を認めた.血液検査にてLDH 707IU/L,MRIでは中心壊死を伴う20cm大の腫瘤性病変を認め子宮平滑筋肉腫を疑い,手術を施行した.腫瘍は骨盤内に広範に広がり,腫瘍部分切除,子宮膣上部切断,両側附属器切除を行うにとどまった.病理組織にて腫瘍は平滑筋肉腫と診断されたが,摘出子宮に病変は認めなかった.術後IEP療法を4クール施行し,著名な腫瘍縮小を認め,残存腫瘍摘出ならびに子宮頸部切除を行った.手術所見では腫瘍と子宮頸部の連続性は明らかでなく,病理組織でも子宮に病変は認めなかった.さらにIE療法を2クール追加し,経過を観察しているが明らかな再発兆候は認めていない.LAM後に発症し,当初子宮由来を疑ったが,手術・病理所見からは子宮との関係は不明であり,発生母地の特定に困難を感じた一例であった.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(2)
267-267, 2010
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