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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
卵巣腫瘍3
不妊治療・卵巣子宮内膜症性嚢胞既往を有した産褥卵巣癌の1例


長島 克, 青木 千津, 片桐 由起子, 釘宮 剛城, 吉田 義弘, 福田 雄介, 松江 陽一, 宗 晶子, 渋井 幸裕, 間崎 和夫, 田中 政信, 森田 峰人
東邦大学医療センター大森病院産婦人科


【背景】排卵誘発剤に代表される不妊治療と悪性腫瘍の発生に関して複数の報告が存在するが,短期的には排卵誘発治療は卵巣癌のリスク因子とはならない可能性を示すものが多い.しかし不妊自体が卵巣癌の発生要因である可能性が指摘されている.また,子宮内膜症から類内膜腺癌や明細胞癌が発生しやすいことは近年良く知られている.今回我々は,長期にわたる不妊治療歴を有する子宮内膜症患者の産褥期に卵巣癌が発症した症例を経験したので報告する.【症例】38歳女性.29歳と33歳で2回の腹腔鏡下卵巣子宮内膜症性嚢胞核出術の既往がある.複数の医療機関において11回の人工授精ののちに通算7回の卵巣刺激―採卵―体外受精―胚移植を施行し第1子を妊娠・出産した.自然妊娠による第2子の妊娠・分娩管理目的で当院を受診したところ右卵巣腫瘍を認め,妊娠17週に実施した右付属器切除術で組織型は粘液性境界悪性腫瘍であった.左卵巣は正常大で子宮後壁に内膜症性に癒着していた.妊娠38週で経腟分娩となったが,産褥1か月健診時に左付属器腫瘤と腹水を認め,精査の結果,左卵巣癌と診断された.切除不能で卵巣生検では類内膜腺癌StageIIIcの診断であった.化学療法を施行したが治療中に肝転移し全身状態悪化のため分娩後9か月で永眠した.【考察】卵巣子宮内膜症性嚢胞以外にも,上皮性卵巣癌の発生には卵巣表層上皮の創傷・修復の繰り返しによる発癌の可能性が懸念され,頻回の採卵操作等が発症に何らかの影響をおよぼしている可能性も否定できない.普及した不妊治療であるが,発癌との因果関係について長期的影響も含めて検討していくことが必要であると考える.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 320-320, 2010


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