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第120回学術集会(平成22年11月28日(日))

【一般演題】
妊娠・分娩5
切迫早産管理中に心不全をきたしたことを契機に発見された,甲状腺機能亢進症の一例


下平 智子, 服部 政博, 飯沼 繭, 山田 卓博, 市川 義一, 根本 泰子
静岡赤十字病院産婦人科


症例:41歳女性 1回経妊0回経産(26歳時人工妊娠中絶)
経過:体外受精により妊娠した.妊娠26週頃より両下肢の浮腫増悪を認め,29週4日に入院となった.入院時尿蛋白陰性であり,血圧は127/83mmHgであった.減塩食,安静にて経過観察していたところ,浮腫は徐々に改善を認め,血圧も安定していた.30週2日より2〜3分間隔の子宮収縮が出現し,切迫早産と診断してベタメタゾン12mgを2日間筋注,および塩酸リトドリンの持続点滴静注を50μg/分より開始した.30週6日塩酸リトドリン45μg/分に減量していたが,この頃より臥位で増悪する呼吸苦および咳が出現し,胸部レントゲンにて心拡大・両側胸水貯留を認めた.また採血にてTSH 0.01μU/ml,FT4 5.17 ng/dl,FT3 8.68 pg/ml,サイログロブリン103.2 ng/mlであり,甲状腺機能亢進症と診断した.甲状腺機能亢進状態に塩酸リトドリンを開始したことによる高拍出性心不全と考え,フロセミドの静注,およびヨウ化カリウムとチアマゾールの内服を開始した.31週0日に塩酸リトドリンの点滴を中止したが切迫症状の増悪はなかった.31週3日には呼吸苦消失し,両側胸水も改善を認めた.35週6日前期破水し,単臀位であったため,緊急帝王切開術を施行した.乳汁への移行を考慮し術後1日目よりチアマゾールをプロピルチオウラシルへ変更した.術後経過良好で,術後15日目に退院した.
結語:切迫早産に対して塩酸リトドリンを開始する際,甲状腺機能検査は常時行われていないが,甲状腺機能亢進症例では数日で高拍出性心不全をきたすリスクがある.塩酸リトドリンの持続静注を開始した際には,呼吸苦等の心不全徴候にも注意が必要である.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会誌, 47(3) 335-335, 2010


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