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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
術前に心房中隔欠損症を介して奇異性塞栓症をきたした卵巣明細胞腺癌の1例


安田 元己1, 多賀谷 光1, 大森 真紀子1, 出山 順太郎2, 端 晶彦1, 久木山 清貴2, 平田 修司1
山梨大学医学部産婦人科1, 山梨大学医学部第2内科2


【緒言】卵巣癌,とくに明細胞腺癌では静脈血栓塞栓症(VTE)のリスクが高いことが知られている.今回,われわれは卵巣明細胞腺癌の症例で,術前に下肢深部静脈血栓に対し抗凝固療法を開始したにも拘わらず,心筋梗塞,脾梗塞,腎梗塞をきたし,この原因が心房中隔欠損による右左シャントを介した奇異性塞栓と診断された稀な症例を経験したので報告する.【症例】62歳,3経妊2経産.腰痛,膀胱圧排症状があり,骨盤内腫瘍を指摘され当院へ紹介.CTにて左卵巣にのう胞成分と充実成分が混在した10cm大の腫瘍を認め,卵巣癌の疑いで入院となった.術前検査において下肢血管エコーで両側ヒラメ筋静脈に血栓を認め,ヘパリン投与を開始した.ヘパリン投与開始1日後,前胸部痛を訴えたため造影CTを施行し,肺塞栓症は認めなかったが,腎梗塞,脾梗塞の出現を認めた.翌日,CKの上昇と心電図上でのST変化が出現し,急性心筋梗塞と診断された.心エコーにて心房中隔欠損を認め,奇異性塞栓症と診断された.ヘパリン投与,心臓カテーテルによる血栓吸引,バルーンによる冠動脈形成術を行った.19日後にIVCフィルターを留置し,卵巣癌に対し手術を行った.術後診断は明細胞腺癌,pT1c(b)NxM0で,術後に化学療法(CPT-CDDP療法)を6サイクル施行した.抗凝固療法を行いながら術後1年経過しているが,卵巣癌の再発や転移,VTEの再発もみられていない.【結語】心房中隔欠損は稀だが,成人の約25%に卵円孔開存が認められ,深部静脈血栓の存在下では奇異性塞栓から脳梗塞などを発症しうることが指摘されている.卵巣癌ではVTEのリスクが上昇するため,奇異性塞栓も起こりうることを念頭において管理する必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 398-398, 2012


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