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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
腫瘍重量が2600g超まで増大するも胎児心不全を来さなかった仙尾部奇形腫の一例


西澤 秀光1, 石川 香織2, 寺尾 美代子1, 森住 佑子1, 品川 光子1, 小松 篤史1, 高木 紀美代1, 吉田 志朗1
長野県立こども病院産科1, 信州大学産婦人科2


 仙尾部奇形腫はHensen’s node由来の腫瘍であり出生4万に1例の頻度で生じる.胎児診断症例の児の予後は高拍出状態,胎児水腫などの有無が影響する.今回我々は直径が20cmまで増大するも高拍出状態とならずに妊娠を継続しえた胎児仙尾部奇形腫症例を経験したので報告する.症例は36歳,G0P0,虫垂炎既往.妊娠28週頃より急速な母体体重の増加,羊水過多傾向あり,妊娠30週より前医で入院管理としていた.胎児臀部腫瘍を疑い,妊娠30週6日,当院母体搬送となった.胎児推定体重1775g,AFI 21.0.腫瘍は胎児仙尾部に存在し径12×10cm,充実性部分が優位で嚢胞性部分が混在し内部血流は乏しかった.胎児心不全徴候なく胎児貧血も否定的であった.妊娠31週の胎児MRIで腫瘍は骨盤外に限局していた.妊娠継続に伴い腫瘍は増大し,妊娠34週には腫瘍径がほぼ20cmに達した.母体浮腫増悪と血圧上昇みられ腹部圧迫症状も著明となり,妊娠35週2日に帝王切開術を行った.女児,出生体重5344g,Aps 8/8,UApH 7.25であった.日齢4で仙尾部腫瘍摘出術を施行,腫瘍は2688gであった.病理診断は未熟奇形腫で再発徴候なく経過している.結語:胎児仙尾部奇形腫では,腫瘍内シャントの存在や出血により高拍出状態から胎児心不全に至り,約半数が胎児期または新生児期に死亡する.本症例は腫瘍が骨盤外に限局し,かつ胎児循環,母体状態がともに安定しており,35週までの妊娠継続が可能であった.巨大仙尾部奇形腫症例においては胎児循環動態の変動,および子宮内容積の異常な増大などに伴う母体症状の双方を注意深く観察する必要がある.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 447-447, 2012


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