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第124回学術集会(平成24年10月28日(日))

【一般演題】
診断に苦慮した新生児血小板減少症の同胞発症例


佐藤 英貴1, 兵藤 博信2, 入山 高行1, 堀越 嗣博1, 山下 隆博1, 亀井 良政1, 藤井 知行1, 上妻 志郎1
東京大学医学部産婦人科学教室1, 聖路加国際病院産婦人科2


[序論]新生児同種免疫性血小板減少症(NAIT)は,血小板膜上に発現するHPA抗原,HLA class I抗原等の母児不適合により発症する.我々は,ITP合併妊娠の母から出生した第1子に遷延する血小板減少を認めたためNAITを疑い,第2子も血小板減少を発症したが,血清学的精査にて母児に共通する抗血小板抗体が認められたため,NAITではなくITPの原因抗体移行による新生児血小板減少(NT)と診断した症例を経験したため報告する. [症例]37歳,2経妊2経産.ITPのためフォローされていた.2009年1月に妊娠34週で第1子分娩.出生時から血小板減少(2.0万/μL)を認め,日齢1には0.6万/μLに低下した.血小板輸血,γ-グロブリン投与を行ったが,効果は一時的であった.遷延する血小板減少のためNAITを強く疑った.ヒト血小板特異抗原は,母HPA-3aa,父HPA-3ab,子HPA-3abであり,HPAの母児不適合による血小板減少が疑われた.しかし,抗HPA-3b抗体は検出されなかった.2012年4月に妊娠29週で第2子分娩.第2児も出生時に血小板減少(2.8万/μL)を認めた.第1児の臨床経過からNAITの同胞発症と考えたが,第2児分娩後の母児血清学的精査にて血小板膜上に発現する抗GP-Ia/IIa抗体が共に弱陽性であり,ITPの原因抗体が児に移行したため生じた血小板減少症と考えた. [考察]抗HPA抗体が原因となるNAITは,父がヘテロ接合の場合50%の確率で,ホモ接合の場合100%同胞発症する.抗HPA抗体の中には技術的に検出が困難な型が存在するため,抗体が検出できないケースも多い.一方,ITPに伴うNTはITP合併妊娠の14%にみられるが,妊娠中にNTを予見することは困難である.NTの既往がある場合,第2児以降の分娩および新生児期の管理を慎重に行うべきである.


関東連合産科婦人科学会誌, 49(3) 450-450, 2012


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