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<< 学会誌へ戻る 【緒言】鉗子遂娩術の際には正確な内診所見が不可欠であるが，分娩経過中に増大する産瘤や験者間の違いなどのため，児頭下降度の客観的な評価は困難である．近年，分娩進行経過のより客観的な指標として，母体の陰唇の間から超音波プローベをあて，児頭の下降度や第3回旋を観察するTPUによる評価が注目されている．恥骨下縁から児頭への接線と恥骨長軸との角度（progression angle；PA）などが進行評価に有用であるとの報告もある．今回我々は鉗子分娩に際してTPUによる評価を行った3例を経験したので報告する．【症例1】34歳0G0P，妊娠40週3日に分娩誘発し，子宮口全開大まで順調に進行したが，その後産瘤の排臨は認めるものの児頭下降が不良のため，TPUを施行した．PAは155°で，児頭下降度はSP+4cm以上と推測された．内診所見も鑑みて鉗子適位と判断し娩出に至った．児は3,008g，母児ともに産後経過は良好だった．【症例2】33歳0G0P，妊娠41週1日に陣発入院し，子宮口全開大に至ったが，その後産瘤の排臨は認めるものの児頭下降が不良のため，TPUを施行した．PAは158°で，内診所見も鑑みて鉗子適位と判断し出に至った．児は3,050gで産後経過は良好だった．【症例3】40歳1G0P，妊娠39週2日に分娩誘発し，子宮口全開大に至ったが進行不良のため，TPUを施行したところ，PAは165°で，鉗子適位と判断し娩出に至った．児は2,850g，産後経過は良好だった．【結語】TPUは児頭の実際の所在を簡便に描出することができた．TPUは臨床医としての習熟度によらず児頭下降度の客観的な評価を可能とし，また急速遂娩の際の記録としても有用と考えられた． 関東連合産科婦人科学会誌, 50(2) 333-333, 2013 |
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