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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【教育講座2】
胎児心臓超音波検査のポイント
伊藤 茂
順天堂大学産婦人科
心奇形は胎児奇形の中で最も頻度の高い疾患であり,また染色体異常との合併頻度も高い.また,心疾患は生後の蘇生において,酸素投与が禁忌とされる疾患も多く含まれており,出生前診断の意義は大きい.しかし,心臓は構造が複雑であることから,スクリーニングのしにくい臓器の一つとされ,何をどのように見てよいか,一般臨床の中では難渋することも多々ある.我々は以前より胎児心臓スクリーニングは四腔断面,左右流出路,大動脈弓の4つを観察のポイントとしてあげてきた.その中でも四腔断面および左右流出路の詳細な観察は特に重要で,四腔断面では@両心室および両心房の大きさが同じ,A心尖部が正中線より左45度,B心胸郭比(area)がおよそ1/3,C右心室が胸骨後方に位置している,D卵円孔が開存し,左房側へFlatteringがある,E右心室内の肉柱が左心室内のものより厚く描出される,F肺静脈が少なくとも1本は確認できる,といった点を左右流出路断面では@心室中隔の欠損がない,A左右大動脈が交差している,B左右大動脈の太さはほぼ同じ,といった点をポイントとして観察すれば例え大動脈弓の観察が不十分な場合でも大血管の異常を含む多くの先天性心疾患を発見する手がかりは見つけられる可能性が高いことを発表してきた.今回は実際に経験した症例を基に心臓のスクリーニングのポイントについて動画を用いて解説する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
147-147, 2007
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