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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
高得点演題(1)(周産期・不妊) 風疹抗体高値にて当科に紹介された妊婦46例の検討
花岡 正智1), 武藤 和弘1), 高屋 茜1), 崎川 牧子1), 善利 史子1), 久保 隆彦2), 川名 尚3), 平原 史樹4), 小島 俊行1)
三井記念病院産婦人科1), 国立成育医療センター周産期診療部産科2), 帝京大学医学部附属溝口病院産婦人科3), 横浜市立大学大学院医学研究科生殖生育病態医学産婦人科4)
【目的】風疹HI抗体,IgM抗体の推移と,児の先天感染の有無との関連を解明することを目的とした.【対象・方法】平成17年9月から平成19年1月に当科を受診した,妊娠初期にHI抗体256倍以上で風疹IgM抗体陽性の妊婦を対象とした.厚生労働省の緊急提言に従って,当科にて問診を行い再度HI抗体,IgM抗体を測定した.出生児については紹介元病院よりアンケート調査を行った.【結果】初診時の妊婦の年齢は30.7±3.8歳(平均±SD,範囲23〜40,以下同様),HI抗体の中央値は512倍(範囲:64〜1024倍),最終/初回HIの比で2倍上昇は9例,不変は26例,1/2に低下は5例であった.初回のIgM抗体は1.34±1.00(0.15〜6.52),IgM抗体の推移は,−1.31〜+2.08の範囲で変動した.減少例は22例,平均減少幅は0.24(0.03〜2.08),増加例は13例,平均増加幅は0.35(0.03〜2.08)であった.風疹既往歴を21例に認め,妊娠前の風疹ワクチン接種歴を14例に認めた.46例いずれも妊娠中の感染症状,風疹患者との濃厚な接触はなかった.調査し得た臍帯血風疹IgM抗体はすべて陰性で,出生時に先天性風疹症候群と診断された児を認めなかった.【結論】風疹感染のリスクのない場合には,われわれの調査ではIgM抗体が−1.31〜+2.08の範囲で変動しても先天感染が認められないことがわかった.併せて,リスク因子の問診が重要である.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
152-152, 2007
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