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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
胎児異常(1) 出生前に診断された肺動脈弁欠損を伴うファロー四徴症の1例
杉山 重里, 樋口 隆幸, 浅井 哲, 峰岸 一宏, 石本 人士, 田中 守, 青木 大輔, 吉村 泰典
慶應義塾大学産婦人科
肺動脈弁欠損を伴うファロー四徴症(以下TOF)は,TOF全体の中でも約2%とまれであり,概ね予後不良である.今回我々は,胎児心臓超音波検査から肺動脈の瘤状拡大と,カラードプラ法における拡張期のto-and-flow pattern,および心室中隔欠損と大動脈騎乗から肺動脈弁欠損を伴うTOFと胎内診断した1例を経験した.症例は39歳,0経妊0経産.他院での妊娠20週の妊娠中期胎児超音波スクリーニング検査において胎児心奇形の存在を疑われ,精査目的に当院外来紹介受診となった.胎児心臓超音波検査にて,肺動脈の瘤状拡大と可動性不良な肺動脈弁が観察され,また心室中隔欠損および大動脈右室騎乗を伴っていた.カラードプラ法では,拡張期に右室肺動脈間血流のto-and-flow patternを認めた.以上の所見から肺動脈弁欠損を伴うTOFと胎内診断した.心奇形以外には胎児超音波検査上異常所見はなく,発育も良好であった.妊娠38週2日,自然陣痛が発来し,2498gの男児を経腟分娩した.出生後,超音波検査により胎内診断が確認された.本症での問題は,著明に拡大した肺動脈による気道の圧迫である.新生児期から無気肺,気道閉塞による重症の換気障害が出現し,循環不全よりむしろ呼吸不全のために死亡することが多い.しかし,新生児・幼児期早期に根治術を行い,良好な予後を得られることもあり,早期診断,とりわけ出生前診断が有意義であると考えられる.若干の文献的考察を加えて報告する.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
155-155, 2007
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