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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
胎児異常(2)
胎児エコー・MRI所見が改善傾向を疑わせた気道閉鎖(CHAOS)の一例


柳田 充雄1), 村越 友紀1), 多田 和美1), 田所 望1), 桑島 成子2), 鈴村 宏3), 平林 秀樹4), 千葉 敏雄5), 渡辺 博1), 稲葉 憲之1)
獨協医科大学産婦人科1), 獨協医科大学放射線科2), 獨協医科大学小児科3), 獨協医科大学耳鼻咽喉科4), 国立成育医療センター特殊診療部5)


 Congenital High Airway Obstruction Syndrome(CHAOS)は,胎児の気道閉塞などにより生じ,出生前に診断される臨床症候群である.今回,我々は出生前診断上改善傾向を疑わせたCHAOSの症例を経験したので報告する.症例は20歳(1経妊0経産).妊娠確定後,前医にて妊婦健診施行.妊娠22週3日,胎児腹部腫瘤を指摘され,妊娠22週5日,当院紹介受診.超音波にて胎児腹水,肺高輝度と過膨脹を認め胎児上部気道閉鎖と心不全を疑った.妊娠25週,MRIにて肺過膨脹,胎児腹水の存在を確認しCHAOSと診断.妊娠27週,超音波上胎児腹水は消失.妊娠31週,肺過膨脹も軽減傾向が見られた.妊娠36週,超音波では胸郭内異常所見は認められなくなった.妊娠37週,MRIでは下部気管から気管支にかけての拡張を認め,CHAOSの自然寛解が考えられた.米国フィラデルフィア小児病院でも,膜様閉鎖によるCHAOSが分娩前に自然開窓して治癒した症例の報告もあり,産科,小児科,耳鼻科でカンファレンスを行った.分娩様式は本人と家族も含めたICを得て,耳鼻科医師の在院中の出産を目標とした,陣痛誘発を行うことにした.妊娠38週4日,Oxytocinによる誘発を開始し,分娩時間9時間44分,2438g,男児,Apgar score 3/4点(1分/5分値)を経膣分娩した.出生直後気管内挿管不可能であり,NICUで待機していた耳鼻科医師により,緊急気管内挿管(出生後6分)が行われた.児は気管支鏡,3D CTにて輪状軟骨レベルの気管が約4mmの長さで閉鎖しておりCHAOSと診断されたが日齢21日で人工換気を離脱し,自発呼吸となり,現在生後約4ヶ月体重約4200g,退院とその後の根治治療を予定している.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 155-155, 2007


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