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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))

【一般演題】
胎児異常(2)
胎児後縦隔リンパ管腫の一例


小野 恭子1), 岩澤 有希1), 宮地 恵子1), 砂川 空広1), 高木 紀美代1), 宮下 進2), 菊池 昭彦1), 佐合 治彦3)
長野県立こども病院総合周産期母子医療センター産科1), 長野県立こども病院総合周産期母子医療センター新生児科2), 国立成育医療センター胎児診療科3)


 リンパ管腫は,胎生初期のリンパ組織の発達異常と推測されている.リンパ管腫はほぼすべての場所に発生しうるが,最も頻度が高いのは頚部,腋窩,胸郭,下肢の軟部組織である.その他のまれな部位として,大網,腸間膜,咽頭,舌,腸,後腹膜腔,縦隔,結膜,口が報告されている.縦隔リンパ管腫は原発性縦隔腫瘍の0.7〜4.5%とされ,多くは前縦隔や上縦隔に存在し,後縦隔はまれである.かつ,腫瘍の発育が非常にゆっくりであり,無症候性であることが多いため,成人に比し小児の報告は少ない.今回我々は胎児後縦隔リンパ管腫という非常にまれな症例を経験したので報告する.症例は24歳1経妊0経産.妊娠27週の妊婦健診時に胎児異常を指摘され,精査目的に妊娠28週で前医紹介となった.超音波およびMRIで,横隔膜直上から椎体前面に,内部に隔壁を伴い,大動脈の周囲を取り巻く46×26×30mm大の嚢胞性腫瘤を認め,後縦隔リンパ管腫が疑われた.羊水染色体検査は正常核型であった.その後,帰省分娩のため当科紹介となったが,腫瘤は増大なく経過した.妊娠39週に高位破水した後,微弱陣痛の適応で陣痛促進し,新生児科医立会いの下,経膣分娩となった.児は2474gの男児で,Apgar Score9/9であった.出生後は呼吸状態に問題なく,腫瘤の大きさにも変化がないことから,出生後1ヶ月が経過した現在までは手術の適応なく,経過観察の方針となっている.


日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2) 156-156, 2007


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