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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
高得点演題(2)(腫瘍) 当科で経験した子宮体部癌肉腫の臨床病理学的検討
小野 重満, 角田 新平, 今井 愛, 新井 正秀, 新井 努, 川口 美和, 二井 美津穂, 沼田 彩, 上坊 敏子, 海野 信也
北里大学医学部産婦人科
子宮体部癌肉腫は癌腫と肉腫の両成分よりなる悪性腫瘍で,子宮体癌の4〜5%を占める比較的まれな腫瘍である.当科で治療した子宮体部癌肉腫について臨床病理学的に検討し1971年から2005年までの34年間子宮体癌880例を治療したが,うち癌肉腫は29例で3.3%を占めていた.年齢は46歳から81歳(平均62.9歳)に分布し50歳代,60歳代がそれぞれ37.9%,34.5%を占めていた.25例(86.2%)が閉経後であった.診断は3例の卵巣癌,2例の子宮筋腫以外は体癌であった.28例は手術が施行され,単純子宮全摘術を14例,広汎性子宮全摘出術を9例,拡大子宮全摘出術,試験開腹を各2例に施行した.リンパ節郭清は15例に施行した.病理標本の検討が可能であった25例では,15例は筋層浸潤が2/3以上でうち6例は漿膜外への浸潤を認めた.逆に粘膜内に限局していた症例も3例経験した.リンパ管侵襲を11例に認めた.付属器転移を25例中3例に,リンパ節転移を16例中7例に,子宮傍結合織転移を11例中6例に認めた.25例中16例に萎縮内膜の共存を認めたものの内膜増殖症の共存は4例に認めたのみである.29例中16例が原癌死したが治療開始から死亡までの期間は31〜1520日(平均471日)であった.以上から子宮体部癌肉腫は一般の体癌より高齢に発症し診断には進行している症例が多いこと,共存する非癌部内膜の所見からいわゆるタイプ2体癌に類似した性格を有するとの結論を得た.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
159-159, 2007
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