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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
高得点演題(2)(腫瘍) 妊孕能温存治療を施行した卵巣悪性・境界悪性胚細胞腫瘍の検討
高橋 詳史, 竹井 裕二, 藤原 寛行, 伊志嶺 めぐみ, 町田 静生, 高野 貴弘, 大和田 倫孝, 鈴木 光明
自治医科大学産婦人科
【目的】当施設で妊孕能温存治療を施行した卵巣悪性・境界悪性胚細胞腫瘍症例の臨床病理学的および生殖機能の検討を行った.【対象及び方法】1995年から2005年までに当科で治療した悪性および境界悪性胚細胞腫瘍はそれぞれ17例,3例であり,そのうち11例に妊孕能温存治療が施行された.11例の年齢,組織型,進行期,化学療法レジメン,治療後の月経発来の有無,妊娠歴,および予後を検討した.なお,妊孕能温存治療の対象は,片側の卵巣および子宮に腫瘍の浸潤がなく,強い妊孕能温存希望がある患者であり,進行期は考慮しない.術式は,患側付属器切除に腹腔細胞診などのstaging laparotomyを原則とし,進行例には可及的腫瘍減量手術を施行した.【成績】1)年齢:中央値21歳(16-31歳).2)組織型,進行期:未分化胚細胞腫3例(I期2,III期1),卵黄嚢腫瘍3例(I期3),未熟奇形種(G3)1例(II期),混合型(未熟奇形種+卵黄嚢腫瘍)1例(I期),未熟奇形種(G1,G2)3例(I期3),であった.3)11例中7例にBEP変法が3〜5コース施行された.4例(Ia期3,Ic(b)期1)は化学療法を施行しなかった.4)治療後,全例で月経発来した(中央値4ヶ月(2-12ヶ月)).5)妊娠は,2例で4妊娠みられ,いずれも正期産で,児の奇形はみられなかった.6)再発例はなく,二次性発癌もみられず,全例無病生存している(中央値74ヶ月(14-103ヶ月)).【結論】卵巣悪性および境界悪性胚細胞腫瘍に対する妊孕能温存治療は,安全に実施出来ることが確認された.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
160-160, 2007
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