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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
塞栓症 深部静脈血栓症により発見され,抗凝固療法を必要とした先天性凝固阻止因子異常症合併妊娠に関する検討
高江洲 陽太郎1), 向田 一憲2), 古川 美樹1), 小林 由香利2), 森竹 哲也2), 仲地 紀智2), 高橋 千絵2), 金 成一2), 藤東 淳也2), 中村 浩2), 伊東 宏絵2), 井坂 恵一2)
東京医科大学病院産科婦人科1), 東京医科大学病院産婦人科2)
妊娠時は潜在的に血液凝固系が亢進し線溶系が抑制され,組織因子や活性化凝固因子の血液内への流入が起こりやすく,血栓症が起こりやすい状態となっている.その中でも,頻回の流産,早期発症中毒症,原因不明の胎児発育不全,常位胎盤早期剥離などのpoor obstetrical historyのある婦人はthrombophiliaを呈する基礎疾患を有している可能性がある.今回我々は,妊娠中に深部静脈血栓症(以下deep vein thrombosis:DVT)により発見され,抗凝固療法を必要とした先天性凝固阻止因子異常症合併妊娠を経験した.先天性凝固阻止因子異常症とくに,血栓性素因を有する患者は深部静脈血栓症を発症すると肺塞栓症を併発し,致死的な転帰をたどることがある.早期発見が重要であるが,全妊婦に対し凝固異常スクリーニング検査する有用性を示すエビデンスはなく,妊婦の異常所見を早期に発見し,精査することが必要不可欠である.また深部静脈血栓症の既往のあるものに対しては,先天性凝固異常を念頭に検査を行うことが重要となる.先天性凝固阻止因子異常症合併妊娠では,当然のことながら厳重な周産期管理が必要であり,他科医師との連携を密にとり,患者の状態に応じて種々ある抗凝固療法から適切な治療法を選択していくことが重要であると考えられた.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
162-162, 2007
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