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第113回学術集会(平成19年6月3日(日))
【一般演題】
子宮頸癌(1) SIADHをきたした子宮頚部大細胞型神経内分泌癌の1例
黒崎 亮, 安達 博, 中島 紗織, 塩島 聡, 松下 充, 神農 隆, 西岡 嘉宏, 石井 桂介, 尾崎 智哉, 渋谷 伸一, 中山 理, 鳥居 裕一
聖隷浜松病院産婦人科
子宮頚部神経内分泌癌は,比較的稀とされ,なかでも大細胞型内分泌癌は非常に稀で予後不良とされている.また,SIADHの原因はADH産生腫瘍,中枢神経疾患,薬物などである.今回我々はSIADHを来たした,子宮頚部大細胞型神経内分泌癌+扁平上皮癌の症例を経験したので報告する.症例は,44歳,2経妊2経産.不正性器出血および全身倦怠感を主訴に近医受診.子宮頚部スメアにて低分化癌が疑われ,当科紹介受診.子宮頚部組織診にて,大細胞型神経内分泌癌+扁平上皮癌と診断した.また,高度の低Na血症を認め,精査の結果原因は不明であるがSIADHと診断した.子宮頚癌Stage 3aの診断で,CPT-11+CDDP 6コース施行し,さらに放射線療法(全骨盤,傍大動脈照射+腟腔内照射)を追加.画像上,腫瘍組織はほぼ消失したが,低Na血症は変化なかった.このため,持続する低Na血症は副腎機能低下症に伴うものと考え,ステロイド投与を開始したが,改善はわずかであった.4ヶ月後,腟壁再発をおこしたため,weekly TJ 6コースを追加施行した.画像上腫瘍は最大径13mm程度残存しており,性器出血も持続していたため,広汎子宮全摘術施行し,病変の完全摘出を行い得た.扁平上皮癌を混じた大細胞型神経内分泌癌で,術後,低Na血症は速やかに改善,全身倦怠感,食欲不振といった症状も消失したため,最終的にADH産生を伴う大細胞型神経内分泌癌と診断した.術後6ヶ月が経過したが,再発を疑わせる病変は出現していない.
日本産科婦人科学会関東連合地方部会会報, 44(2)
166-166, 2007
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